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ゴールド(Gold)のからくり :貨幣としての金

■1.貨幣膨張とインフレ

【インフレとドル】
2002年ころからの、資源・一次産品の高騰に起因する世界的なインフ
レの原因は、通貨(基軸通貨であるドル)の、米国経済の赤字による
世界分散であることは言うまでもありません。

経済成長(商品生産の増加)より、通貨量の増加が大きいと、いずれ、
何らかの形で、インフレに向かう。

【経済の原理】
M(通貨の量)×V(流通速度)=P(物価水準)×T(商品取引量)
という公式は、M(信用量の増加)×V(回転速度の変化)=P(
物価上昇率)×T(実質GDP)と同じです。

実質GDP(商品生産量)は急には増えない。通貨の回転速度は、ほ
ぼ一定と見ていい。

そうすると、M(信用量の増加)≒P(物価と資源価格の上昇)にな
ります。2000年代に、まず、資源や一産品(卸売物価)が上がった。
数年のタイムラグで、昨年から消費者物価が上がっています。

【わが国も消費者物価が5%台のインフレへ】
他方、先進国の所得は、新興国の工業化と低価格商品の、輸出の増加
のため増えない。

しかし今、わが国の消費者物価も、2008年の年末にかけ、5%は上昇(
現在1.9%)する勢いです。

ガソリンは200円付近に上げても、まだ電気代は上がっていない。
電力会社は巨額赤字です。来年早々に、電気もガスも上がります。

資源価格高騰で、わが国の国民所得から26兆円(世帯当たり40万円/年)
が、資源国に流出します。その分、生活水準が下がり、企業利益も
減ります。わが国の政府財政は、税収の減少からも、いよいよ苦しくなる。

インフレと失業は、経済の中心課題のはずです。
そうすると、信用量(通貨量)も中心課題でなければならない。

(注)原油が今の価格なら、輸入国から産油国に、1年に200兆円もの
所得移転が起こることは、前に示しました。アラブの分は、100兆円で
す。今これは、英国のシティとスイスの銀行を経て、米国の債券、証
券買いに向かっています。米国経済を、崩落の淵で支えているのが、
アラブ・マネーです。アラブがこのマネー供給をどこかに転じれば、
米国は恐慌です。

■2.貨幣は不換紙幣(政府管理の通貨)

【1971年以後は管理通貨:不換紙幣の制度】
ニクソンによる金ドル交換停止の1971以後、ユーロ・ドル・円・元を
含む世界の通貨は「管理通貨」です。

政府・中央銀行が、経済取引に必要な信用の元になる貨幣の発行量を
管理・監督しているから管理通貨という。中央銀行と政府は別の機関
ですが、マネー政策ではほぼ一体と見ていい。

▼ドルの価値下落

1971年以前は、1トロイオンス(≒31グラム)のゴールドを、35ドルで、
FRBに対し交換要求できた。ゴールド1グラムが約1ドル相当と安かっ
た。かつては、1ドル金貨もあったのです。

今、1グラムが3300円位です。ドルでは、約31ドルです。

1971年以後、現在までの37年間で米ドルは、ゴールドに対しては31分
の1に下落しています。

このドル下落を見れば、原油や資源が、上がるのも当然に思えます。

1年で9%もの、ゴールドに対する米ドルの価値下落があった。
ドル預金に仮に金利が5%ついても、1年で4%の価値下落です。

ところが世界の政府・中央銀行は、米ドルを(もっとも価値が安定し
ている)基軸通貨としたのです。

米ドルの根底には、こうした虚妄があって、今も、これが続いています。

【簡単な試算】
もし、1970年に10万ドル(当時は3000万円)でゴールドバー100キログ
ラムと交換していれば、今は300万ドル(約3億円)になったはずです。

これは米ドルの価値下落以外の、何ものでもない。金の価値が上がっ
たのではない。原油や資源の価値が上がったのでもない。本当はドル
が下落した。日本円も、それにつれ下がった。ユーロも、元もです。

(注)円はドル勢力圏から独立してない通貨です。政府がそう決めて
います。

円で言った利益率は、過去37年で10倍です。ゴールドは1年に、当たり
換算で6.4%の利益です。これは、事業の利益や所得増より大きい。

▼管理通貨

【いずれも信用(credit)】
通貨、貨幣、そして信用は同じ意味のものです。クレジットカードや
ローンの信用も通貨です。国債も政府信用であり、市場ですぐ売れる
から通貨と同義のものです。

各国の政府赤字は、通貨量を増やします。
そのため、通貨の価値が下がる。

【ケインズ】
われわれの世界の管理通貨制は、世界大恐慌(1929年から)の後のデ
フレ経済に対し、ケインズの発案(『雇用と貨幣と利子の一般理論』)
をベースに、各国が採用したと言っていい。

ルーズベルトの「ニューディール(1933年~)」は、管理通貨の増刷
を財源とした公共事業でした。1939年からは、ヨーロッパ、日本、ア
ジアを破壊した第二次世界大戦でした。実にこの戦争も、米国にとっ
ては経済対策でもあったのです。米国は、他国で戦闘をし自国は破壊
されなかった。

【1929年の大恐慌】
物価が下がり、失業が増えたデフレ型の大恐慌(1929年)は、主流派
のエコノミストからは、通貨の発行に制限があった「金本位制」に原
因があったとされています。果たしてそれは本当のことか?

金本位(Gold Standard)は、ゴールドの量を基準に、通貨の発行額を
制限する制度です。

■3.謎が多いゴールド

【世界のゴールドの量】
人類の歴史で発掘されたゴールドの総量は、不正確な統計に過ぎませ
んが、どこを調べても約15.5万トン(時価で450兆円:1グラム=3000
円としたとき:1トンは30億円)とされています。

そのうち、
・52%が宝飾用(8万トン:時価230兆円)で代々持たれ、
・19%(3万トン:87兆円)が各国政府の公的保有、
・16%(2.5万トン:75兆円)が個人の所有、
・12%(1.8万トン:5.4兆円)が工業用とされています。
・不明が2%です。(資料:Fiscoコモディティ)

5.5万トン(約162兆円)くらいが、ゴールドバーとして、代々の貯蔵
(推計)でしょう。このうち、各国政府・中央銀行の持ち高は、公式
には、約3万トン(90兆円相当:総量の19%)とされていますが、実際
の量は「闇の中」です。

(注)産金量は1年で2500トン(時価で75兆円:2005年)レベルで安定
しています。産金コストは1グラムで1000円くらいです。

【ゴールド・原油・資源の3倍への高騰】
2002年以後、ゴールドと原油・資源は、パラレルに平行し、約3倍に上
げています。

ゴールドと原油の価格を基準に、一定の価値とすると、今、株・証券
・国債そして個人の名目所得や貯蓄額、そして不動産は、約三分の1に
下落しています。

価値の基準とする尺度を、ゴールドや原油に換えれば、別の、経済世
界が見えて来ます。

■4.単純な真理と複雑な謎

▼単純な原理

イランのアフマディネジャド大統領は、「米ドルが下がるから原油が
上がる」という。

原油の価値は変わっていない。インフレ的に膨張したのが、米ドルと
米ドル圏(ドル、円、元、他)の、通貨(信用量)である。膨らんだ
ドルを尺度に計るから、価格が上がったように見える。実際は、米ド
ルが下落している。イスラム金融からはそう見えるのです。

(1)米国の貿易赤字(1年80兆円が累増)、(2)30兆円余のイラク
戦費を主因とする政府財政の赤字(1年50兆円)、(3)米国住宅ロー
ン(1400兆円の残高)、(4)日本の国債の大量発行(800兆円)で、
ドル通貨圏に属する通貨の価値が下がったから、原油・資源・ゴール
ドは上がった。

米国の対外総債務は$20兆(2000兆円)です。(注)純債務は450兆円
でしょう。

原理は、簡単なことだと言う。これが単純な真理。

ファンドの資源投機は、敏感に、通貨の価値下落を狙ったものと言え
ます。

▼ゴールドをめぐる謎

【不思議】
ここ二週間、価値を一定に保っていると直感できたゴールドについて
調べてみました。

気がついたのは、通貨としてのゴールドをまともに論じた本や論文は、
実に、少ないということです。わが国では、ほとんどゼロです。
そして経済論には、(マネタリスト以外は)貨幣論が少ない。


【政府の失敗になるから・・・】
調べた過程で分かった理由を端的に言えば、政府・中央銀行が管理す
る通貨価値の下落(=インフレ=貨幣膨張)は、「政府の金融政策」
の失敗になるからです。この失敗は、政治的な責任になる。

【米政府の喧伝(けんでん)】
逆に、ドル圏が使う基軸通貨を発行する米国は、「ゴールドの通貨と
しての役割は終わった。」と、折に触れ言う。

ケインズが1930年ころに「ゴールドの価値に依存するのは、ばかげた
ことだ」と言って以来、主流派とされるエコノミストは、ゴールドへ
の発言を、意識的または無意識的に封じています。

通貨は、政府が管理するものだという前提があるからです。

ケインズは、英国政府の財務高官として戦費調達のため国債発行も説
いています。第二次世界大戦後の、国際通貨制度である「ブレトン・
ウッズ体制(1944年~1973年)」作りにも参加した。

【論理矛盾】
インフレの原因が、管理通貨の量の膨張であることは、誰も否定しな
い。ここに、管理通貨の論理矛盾がある。インフレは政府赤字を主因
に引き起こされる。しかし政府は、そうでないかのように、振る舞う。
ファンドが犯人と言う。これは誤りです。

ファンドは、利益が出るように運用するだけにすぎない。そのマネー
の、よって来たる根源は、政府赤字による過剰マネーです。

【救国】
私は、救国のために、言いかえれば高齢化に向かう国民の虎の子の金
融資産(1500兆円)を、将来の福祉費用に活かすため、(3倍に高騰し
た今からでもいいから)100兆円分だけでも、順次、ゴールドを買えば
いいと考えています。

【米国が禁止すると言うが】
しかし政府、政治家、官僚は、それは、絶対できないと言う。理由「
米国が、日本政府の金の増加保有を禁じている」からだと言う。実に、
情けないことです。円が、100円~125円のスプレッド(幅)で、米
ドルにリンクするという「政府間密約」があるように、ゴールドも禁
じられていると見ていい。

政府・財務省・エコノミストは、米国の圧力を恐れています。じゃ米
国はなぜ、日本の政府を含む世界政府に「ゴールドを買わせないのか
?」 その理由は、論理的な推測によるしかない。

(注)民間や個人なら、堂々と買えます。商品としての金を買うとI
MFに言えばいい。商品としてのゴールドは、統計されません。

【日銀】
日銀のゴールド保有は、貸借対照表を見れば、総資産101兆円のうち、
わずか4兆4125億円(2008年6月末:総資産の4.4%)です。時価換算で
は1470トン分(世界の政府保3万トンの4%くらい)に相当します。

しかし現物は、おそらく数トンしか日銀の金庫にはない。これも、日
銀は公開しません。

(注1)日本政府公表分の持ち高は、なぜか、その半分の765トンです。
1グラム6000円相当の超高値(時価の約2倍)で買ったことになる。
各国政府の金にはその量を含み、未公開の謎が多い。米国FRBの公
表持ち分は8134トン(時価24.4兆円)とされますが、それも、実のと
ころは不明です。
(注2)ゴールドは工業等に使う「商品」として申告した場合、国際協
約では、その量と金額をIMF等に申告しないでいいとされています。
そのため、ゴールドバーの所有高は、不明になる。

【有事のため?】
米国FRBの地下金庫に預託され、証文(金証券)があるに過ぎない。
米国は、金証券は渡しても、その現物を渡しません。理由は、「有
事(戦争)」のため、貴国の財を守るという勝手なものです。実際は
どこにあるのか、不明です。

【フランス及び日本とドイツ】
過去、フランスが、自国の戦艦で米国FRBに預けていたゴールドを
何年もかけ持ち帰ったのとは、えらく違います。

日本は有事の際、自国を守れないではないかというのが米国政府の言
い分です。ドイツ政府は3117トン(時価で10兆円)の金をもつとされ
ますが、これも、日本同様、米国への預託が多い。ドイツがユーロ通
貨圏を形成した原因がこれかもしれません。

【不思議な矛盾】
米政府とFRBが言うよう「ゴールドの役割がもう終わった」のなら、
渡せばいい。しかし、渡さない。ここにも、ゴールドの不思議の一端
があります。

【珠玉とされる論文】
調べている過程で、前FRB議長のアラン・グリーンスパンが、学者
の時期に書いた『ゴールドと経済的自由(1966)』という論文に遭遇
しました。(注)グリーンスパンは、恐慌の研究者でもあります。隠
れた金本位論者であることも知られています。

ゴールドについて書かれたものうち、珠玉とされています。邦訳はな
いので、説明的に訳し、解釈を述べます。目的は、貨幣について、基
本的なところを、理解するためです。この教育は、わが国では欠落し
ています。
http://www.321gold.com/fed/greenspan/1966.html

別の本で言えば、参考になるのは『邦訳:今なぜ、金復活なのか(原
題:Gold War)』(フェルディナンド・リップス:2002年5月)です。

リップスは、ロスチャイルド系の「バンク・リップス」を、スイスに
作った人です。1998年に引退し、金鉱山のファンドを運用しています
。ゴールドをめぐる米英政府や主流派エコノミスとの戦いのうち、(
たぶん)公開に難がないと判断されたことが、記されています。まと
もに論じれば、ゴードルには、危なさもあります。

■5.『ゴールドと経済的自由(1966)』を解釈

冗長な部分を要約し、主旨を示します。(解釈は当方の責です)
論旨は明確で、日常用語でも理解できるでしょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
経済は、商品の生産と交換である。古代の経済は、等価と思えるもの
の物々交換だった。これは不便だった。そのため交換の媒介として貨
幣が発明された。貨幣としては、社会によって、その価値が一定と思
われるものが使われた。金、銀などの金属、貝殻、あるいはタバコと
もされた。(注)(わが国では)米が単位でもあった。

文化(価値観)が異なる国を超えた取引では、皆が価値を認める金や
銀が使われた。

第1次世界大戦(1914-1918)まで、国際的な交易では「ゴールド」が
通貨だった。しかし、ゴールドの量は少ない。

そのため、ゴールドを担保に、信用ある銀行が「金額を書いた銀行券」
を発行した。要求すれば、一定量のゴールドと交換可能(兌換紙幣
という)だった。(これが銀行制度の始まり。)

銀行は、金利をとって貸し付け(ローン:信用創造)を行った。利益
を上げる事業に貸し付けて、金利を利益とした。

事業が、金利を払う利益を上げることができないときは、ローンを回
収してその事業を清算する。そして他の事業や個人に貸し付ける。こ
れが、企業の有効な投資となって、経済の発展を促す。

銀行が行う信用創造の量(与信)は、金の準備率(ゴールドの持ち高
÷信用創造額)に規定されていた。例えば準備率が10%(10憶円)な
ら、その10倍の金額(100億円)の与信を創造し、貸し付けることがで
きる。

こうした金本位制では、(政府が関与しない)自由な銀行システムが
、経済の安定(=物価の安定)と、与信額に調和した経済成長に寄与
していた。

通貨の単位がドル、ポンド、フラン、マルク、円であっても、一定量
のゴールドにリンクされていた。従って、交換比率も一定になる。通
貨の価値と物価は、長期で安定していた。

ある国の銀行が、貸し付けのための与信(ローン)を過度に増やし、
銀行券を過剰に貸し付ければ、ゴールドの準備率が下がる。通貨が増
えれば、その国の物価は上がり、通貨の価値が下落する。

そのため預金者は、預金を引き出す。これによって、過剰だった銀行
の与信額(貸し付け額)は減さざるを得ず、金融は引き締められ、正
常化に向かう。

通貨の価値をゴールドにリンクさせた金本位制では、人々は、未来の
通貨の価値下落を憂うことなく、貯蓄ができる。

完全な金本位制は、未だにどこの国でも実現はしていない。しかし、
第一次世界大戦前の米国と諸国は、金本位だった。金本位は、(政府
が関与しない)自由な経済を実現させた。

ところがこの銀行システムに、政府が関与した。第一次世界大戦の直
前の1913年には、米国では連邦準備制度(FRB:Federal Reserve
System:中央銀行制度)が作られた。

FRBは形式的には、民間銀行の出資によるものだった。しかし実態
では、政府がスポンサーで、与信額をコントロールしていた。

これによって、ゴールドではなく政府の課税力(徴税権)が与信の元
になった。(つまり純粋金本位制が、米国では1913年に終わった)

金本位制は続いていた。与信の根源になるものに、ゴールドの準備高
以外に、政府の将来課税力が根拠でしかない「ペーパーマネー(不換
紙幣)」が加わることになった。(注)政府信用とは、課税力です。

1927年(大恐慌の2年前)には、米国経済は、穏やかな縮小過程にあっ
た。経済の成長力が、低下していた。

【重要】
(1)このとき、政府が管理する米国FRBは、経済を浮揚させる目的
で、FRBのペーパーマネー(ドル紙幣)を増刷し、銀行に貸し付け
た。民間にお金が回るようにするためである。これによって、米国の
金利を低下させた。

(2)もっと悪いのは、米国FRBが、ポンドの価値低下、つまり英国
の経済力低下(=貿易赤字)から、ポンドとリンクするゴールドが国
外流出していた英国の銀行に、米ドルを貸し付けたことである。

英国経済が弱くなり、ポンドの価値が下落するので、人々は価値の変
わらないゴールドに交換していた。英国からゴールドが流出していた。
(注)これが、経済の自然な動きです。

英国は、ポンドの価値を守るためなら、本来は、金利を上げねばなら
なった。しかし金利を上げると経済は更に停滞する。そのため、英国
は金利を上げなかった。この英国の信用の低下を補ったのがFRBの、
英国銀行へのドル貸し付け(ゴールドの裏付けがないペーパーマネ
ー)だった。

【株への投機が起こった】
FRBが、国内の金利を上げなかった。英国にも貸し付けた余剰なマ
ネーは、株への熱狂的な投機に向かった。銀行から低利で借りた人が
株を買った。上がった株は、また買われるというバブルになった。米
英の株価や不動産は、急騰した。(1927年~1928年)

【投機を抑えるため金融を絞る】
株価と住宅の投機的な高騰を見て、FRBの高官は、貸し付けを絞り
(回収し)、株への投機にブレーキをかけようとした。しかしこれは
遅きに失した。

1929年には、すでに投機が投機を呼んで、株価と不動産バブルが巨額
だった。FRBが、急にマネーを絞ると、投機的な株価が急落した。
結果として、米国経済が崩落した。英国は、もっとひどいことになっ
た。

【金本位の停止という愚策】
この経済の破綻の中で、英国は愚策を採用した。1931年に、ゴールド
の対外流出を恐れ、金本位を停止し、かつての基軸通貨だったポンド
を完全なペーパーマネーにしてしまった。

これが、マネーの信用をずたずたにし、世界の銀行が、破綻に向かっ
た。(注)当時の基軸通貨は英ポンドです。

1930年には、世界は大恐慌に陥った。

(世界恐慌は、結果として、1939年からの第二次世界大戦を生みます。
これは、原油資源と植民地の争奪戦でした。)

歴史は繰り返します。あたかも2000年代を見ているかのようです。

【重要】
(1)多くのエコノミストは、金本位制が信用の崩壊と不足を生んで、
世界大不況を招いたと言う。もし英国が金本位でなかったら、ポンド
の金交換停止(1931年)が、世界の銀行を破綻させることはなかった
というのが、その論拠である。

●しかし、世界恐慌の犯人として、本来非難すべきは、米国FRBが
1913年以降にとった「ゴールドとペーパーマネーの混合的な金本位制」
である。金本位に責任があるわけではない。

金本位制は、政府赤字が必要になる「福祉国家」と両立しないとも言
う。これも誤っている。

●経済の小難しい用語の仮面を剥(は)いで言えば、福祉国家は、富
裕者及び利益を上げる企業からの税を、社会福祉の費用に宛てること
でのみ成立する。

しかし選挙制の民主国では、高い税が嫌われる。政府与党は政権にと
どまるために、税を安めにしなければならない。

政府の財源は常に不足し、赤字になる。足りないお金を借りねばなら
ない。これが国債の発行である。(注)これがFRBのペーパーマネ
ーの増刷になる。

金本位制の下では、その国の経済が使うことのできる信用の総量は物
的な資産に限定される。そのため、貨幣の裏付けとして物的な資産が
あることになる。これが通貨の価値(預金の価値)を守る。

●しかし政府の債務(国債:ペーパーマネー)に、物的な財の裏付け
はない。政府の信用は、「将来の増税」に依存するしかない。政府借
入の増加は、国民経済の負担になる。

銀行に預金をし、国債を買った国民や民間企業は、その裏付けとして
実物資産があると思っている。

しかし実際は、その裏付けがない。その帰結は、通貨の膨張による物
価の上昇、つまり、マネーの価値の下落である。

(注)10年前の1万ドルが、10年後には、数千ドルの購買力しかなくな
る。これを貨幣錯覚という。

マネーの総量の増加が経済成長より高ければ、その分、物価が上がっ
て、マネーの価値(購買力)は下がる。

以上が、金本位制を非難する正統派エコノミストたちへ向ける、みす
ぼらしい真実である。政府の赤字は、経済の富への信頼の破壊でしか
ない。他方、金本位制は、国民の財への権利を守る。

このことを知っていれば、なぜ政府系のエコノミスト達が、マネー発
行に限界がある金本位制に反対するか、誰でも容易に分かるはずであ
る。(以上、グリーンスパンの『ゴールドと経済的自由』)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

グリーンスパンは1966年には、ペーパーマネーを発行するFRBの有
効性を否定していました。それが後に、FRBの議長になり、世界か
らマネーを集め、米国の株と不動産バブルを作った。

そして今、住宅バブルは自分の責任ではないと言う。立場で発言を変
える信用できない人であることが了解できます。

【補注】
国債発行による政府の需要の増加策(公共投資や福祉費用)は、ケイ
ンズが前提にした1国経済の、短期(最長で数年)では有効です。
(有効需要論)

しかし、
(1)長期に政府赤字を続けること、
(2)及び国際資本移動が自由な現在では、有効でないことは「マンデ
ル・フレミングモデル」で証明されています。趣旨は以下です。

巨額国債を発行し続ければ金利が上がって、民間投資が抑制される。
金利を上げないよう中央銀行がマネーを増刷(=国債引き受けまたは
購入)すれば、低い金利を嫌い、その国から金利の高い国に向かい資
本の流出が起こる。そのためいずれにせよ、金利が上がって、経済は
浮揚しない。事実、日本は浮上していない。

わが国の、1997年からの10年間のゼロ金利と政府赤字(国債発行)が、
610兆円(2007年末)の米国へのマネー流失(純額では250兆円)に
なったことを思えば、このマンデル・フレミングモデルは正しい。

わが国から、相対的に金利の高いドルに交換され流出したマネーは、
米国の金融を過度に緩め、(1)レバレッジ(信用借り)による株価高
騰と、(2)証券化金融での不動産バブルを生んでいます。

1927年から1928年の、金利の低い米国(対英資本輸出)と、英国(米
国からの資本輸入)のバブルに瓜二つです。

そして日銀が、2006年の4月~6月に、突然、30兆円のマネーを絞った
こと(量的緩和の停止=国債売り)も、米国の住宅価格下落に引き金
を引いています。2006年6月から、米国の住宅価格は下落に入ったので
す。

これも、1929年の、米国FRBの金融の引き締めと、全く同じです。

自由にマネーを発行できる機関(中央銀行)は,貨幣の価値の維持に
は害です。ほぼ必ず、モラルハザード(金融倫理の障害)を起こす。

ペーパーマネーの過剰発行は、経済にとっては、偽札造りとなんら変
わらない。しかし裏付けのない偽札ならまだいい。人が信用しないか
らです。政府信用が信用されるから、困ることにもなる。これに、政
府や日銀は、反論はできないはずです。

■6.ゴールドはどうなった? そしてどうなる?

有史以来のゴールドの総産出量は、15.5万トン(約465兆円:1グラム
3000円換算)とされていることは前述しました。
(注)現在の年間産出量2500トンの60年分です。

現在の1グラム当たりの価格は3249円(08年8月6日)です。戦後のハイ
パーインフレが収まった1948年は320円でした。60年で10倍です。円ベ
ースでは1年3.9%の上昇です。

ゴールドバーは、それ自体では、証券のような金利を生みません。し
かし長期で見れば「妥当な金利」を複利で生んでいます。つまり、「
金融資産」としての価値を保持しています。

米ドルで見れば約30倍の価格です。1年で5.8%の利回りです。
これは、円に対するドルの、3分の1への減価も示すものです。

問題は、2000年代で約3倍になったゴールド価格が、今後さらに上げる
のかどうかです。

結論は、容易です。

●基軸通貨の米ドルが、今後も巨額赤字(1年100兆円規模)を続ける
なら、ゴールドは、短期の波動はあっても、「長期的」には上がる。
グリーンスパンの小論も参照すれば、これが言えます。米国の赤字は
いつ止むのかです。

なぜ、バーレビ国王が追放されたイラン革命の1980年(第二次オイル
ショック)に、1グラムで$27.4をつけた後、2001年の$8.2まで約20
年も下げたのかです。

その間も、米国は、今よりは小額でもずっと赤字だったのです。その
時1ドルは220円でした。

1980年の金価格はピークで1グラムが6495円でした。今の約2倍です。
これが2002年には円では1014円まで下げています

1990年代から2002年まで、世界では、ゴールドの時代は終わった、株
だとも言われた。この意味を、解明せねばならない。以下に、価格デ
ータだけを示します。(田中貴金属)
http://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/y-gold.php

  【年間平均価格:1グラム】 【米ドルレート:平均】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1973年   $ 3.1   968円     269円
1980年   $19.7  4499円     228円
1985年   $10.2  2490円     239円
1990年   $13.6  1826円     145円
1995年   $12.8  1209円      96円
2000年   $ 9.0  1014円     108円
2005年   $14.3  1619円     111円
2008年8月  $30.1  3249円     108円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      (10倍) (3.4倍)   (0.4倍)

80年代、90年代の金の価格は、なぜこんなに奇妙な、解釈に困る値動
きだったか?

いずれ、また、下がるのか。あるいは、数年や5年単位で見た時、約2
倍の6000円や3倍の9000円に上がるのか? 次号で検討します。

(注)ドル価格で見るほうがわかりやすい。ゴールドも、原油と同じ
く、ドル価格が市場で決まり、しかる後に、円に換算されるからです。

see you soon!

【後記】
ゴールドには、価値に二面性があります。

〔一面〕ひとつは、原油と同様に、商品として宝飾や工業に使われて
消費される面です。この「商品的な側面」は、ファンドによる投機の
仮需がはがれると、生産の供給量と実需量に合致して下落します。

〔二面〕ゴールドが他の資源と違い特殊なのは、「価値保存の機能」
です。マネーの代わりにそれ自体として増加保有され、マネーとして
どこでも流通します。

直近では原油もゴールドもわずかに下げています。
次稿で、わからない将来を、予見できる材料を探します。


さて、テーマのゴールドです。ここにも「世界-反世界」がある。

ゴールドの約100年の歴史を調べ、思ったのは、「不換紙幣の発行者」
である政府・中央銀行は、一貫して、「通貨の価値をゴールドに依存
するのはばかげている」という思想的、イデオロギー的な、キャンペ
ーンを行っていることです。理由は言わない。単に、馬鹿げていると
言う。

2002年に、基軸通貨の発行、そしてその量と金利の管理をしている総
本山、米国FRB(NY連銀)を訪ねたときのことを思い出します。女性の
広報マネジャーが、丁寧に説明しながら映画をみせてくれました。

「FRBは、8,149トンの現物(現在の時価で26兆円分:1グラム3200
円換算)のゴールドを持ちます。しかしゴールドは、ドルの価値とは
無関係です。ドルの価値を保証するのは、ゴールドではないからです。
米国経済と政府の信用です。」

映像は、ゴールドのインゴットをFRBの係員が踏みつけ、頑丈なジ
ュラルミンの靴で、これでもかと蹴飛ばし、溝に捨てていました。今
も、この映画を見せているはずです。

なぜこうした芝居を、敢えて喧伝(けんでん)しなければならないの
か? 言うまでもなく、米ドルの価値(=購買力)が、政府赤字と貿
易赤字のため、約40年、一貫して下落を続けているからです。

(注)2000年代の円は、財務省の為替介入とゼロ金利によるドル買い
から、世界の通貨平均に対して価値が下がるドルにリンクしています。
そのため、円からはドルの下落が見えなくなっている。

1万枚の100ドル札(100万ドル)、同額のユーロ紙幣(67万ユーロ)、
1万900枚の一万円札(1億900万円)、同じ額の元札(686万元)、そし
て、34キログラムのゴールド(現在の時価で約100万ドル:1億900万円
相当)があるとします。

8300バーレル(ほぼドラム缶:1バーレル120ドルで、100万ドル相当)
の原油証券も入れていい。トヨタの株式2万2000株(100万ドル相当:
1憶900万円:現在価格は1株4950円)もいいでしょう。

以上のうち、10年後、20年後の資産保全(購買力の維持)のために、
どれを選ぶか? あなたは、どれでしょう。半年や1年後の価値変動は
(正直に言って)わかりません。波動のランダムウォークをします。

しかし10年後なら、想定がつく感じがします。

●先進諸国の政府部門の、年金・医療・福祉費用の増加による赤字が、
ベビーブーマーの高齢化のため、累増するからです。

これは、必然で、いずれ、理由づけをしたパーパーマネー(政府管理
通貨)の、増刷になる。日米欧そして、一人っ子政策のつけが回り、
米国の10年遅れで高齢化する中国に共通します。つまりは、今後、イ
ンフレの10年です。

10年後ということなら、ゴールドの(証券でなく)現物を選びたく思
います。(注)1億円もは、買えませんが・・・・。

インフレ(各国政府の管理通貨の膨張)で、貨幣の実質価値(モノの
購買力)に、今の2分の1への下落があると思えるからです。

(注)ただし、ゴールドは現金への換金が容易なため、金融機関やファ
ンドが、住宅証券などの損害で、資金繰り難に陥った時、最初に売られ
ることも記憶する必要があります。これが、価格を乱高下させます。

ゴールドは価格が上がっても、売らない限り課税もない。現金として
利用するときは、現物を担保に出し銀行からペーパー・マネーを借り
ればいい。

世界の通貨の基準とされる米ドルは、どこからどう見ても、今の価値
を維持できない。相対的に、ゴールドの価値は上がって行く。

(注)繰り返しますが、長期で見て、ということです。今の2倍を想定
しています。米ドルが2分の1の価値に下げるということでもある。円
は、国民の富を守る政府責任として米ドルリンクを停止すべきです。
そうでないと、世帯の金融資産1500兆円も、半分の価値になる。

本稿では、われわれが当たり前のものとしている「中央銀行」の存在
理由から論を起こします。言うまでもなく各国中央銀行は、ペーパー
マネー(不換紙幣)を発行する権限を与えられた政府機関です。

なぜ、こうした制度になったのか? そもそも不換紙幣を発行する中
央銀行は、何のために必要

日銀やFRBは要るのか? 中央銀行が存在する第一のミッションは、
通貨の価値(購買力)を守ることです。インフレは、通貨価値の下
落です。

中央銀行が、経済の成長率を超えて増発するペーパー・マネーが、イ
ンフレの原因です。政府が、赤字財政のため、資金不足に陥り、発行
される国債(借用証)を中央銀行が買うことは、紙幣の価値を下げる
ことではないか。

ユーロが相対的に上げたのは、域内の主要13カ国の経済が強いからで
はない。政府の赤字を、GDPの3%以内に制限しているからです。今
年は、米国の1年遅れで欧州の住宅価格が下げます。

(注)毎年、8月は、金融の動乱が起こる時期です。去年の8.09は、サ
ブプライムローン問題でした。

今年は何か? 明日からの8月15日の前後から9月が危ない。1971年の
8.15は、金ドル交換停止でした。今は、戦後60年で最大の、ドル危機
です。アラブがドル買いを停止した瞬間(同じことですが、利上げを
して通貨を切り上げた瞬間)に、米国経済は奈落に堕ちる。

本稿は、通貨を、ゴールドとの関係から、歴史的に振り返ってみます。
基軸通貨であるドルの、反世界です。
■1.ペーパー・マネーを発行する米国FRBの淵源

米国でペーパー・マネーを発行できる唯一の機関、FRB(米連邦準備銀
行)が設立されたのは1913年(ウィルソン大統領)の時代です。翌19
14年は、欧州を焦土にした第一次世界大戦です。

その第一の目的は、「政府の戦費調達」でした。このとき、米国は、
金本位を放棄しています。

金本位は、紙幣の発行を、銀行がもつ金(貨幣用のゴールド)の準備
高で制限する制度です。金本位とは、紙幣が金の証券である制度です。
株が会社の利益を担保するものであるように。

金の準備率(=金保有高/通貨発行量)を10%とすれば、紙幣の発行
は、10倍の額に制限されます。

金準備の制度、言い換えれば金本位では、政府も任意には国債を増や
せない。したがってインフレ(=通貨価値の下落)は生じません。

英国との独立戦争のあと、1776年の米国建国(ジョージ・ワシントン
が初代大統領)以来、米国にFRB(中央銀行)はなかった。

民間銀行のもつ預金準備を背景に、全米12の連邦準備銀行が、ゴール
ドの裏付けのあるドル紙幣を発行していました。ドルは金と一定率で
交換できた。銀行には金準備が必要でした。

1ドルは、銀行でゴールドと交換ができていました(兌換紙幣と言う)。
金額が書かれただけの、ぺーパーマネー(=証券)の、価値の保証
をしていたのが、金でした。

徳川時代の藩札に代わる明治初期の1円も、1グラムの金と交換ができ
ました。1868年(明治初年)の金は、1グラム67銭でした。

1897年(明治30年)1円34銭。敗戦時の1945年(昭和20年)は4円80銭
という記録が残っています。今これが、ほぼ3000円~3500円を波動し
ています。穀物等の物価や不動産が、明治初年に比べ2000倍~3000倍
になったという意味でもある。

(注)トロイオンスは、金の重さを計る伝統的な単位。フランス中世
の商都だったトロイ町に由来します。兜町やウォール街に類します。
正確には31.1035グラムです。単にオンスと言うときもあります。1グ
ラムは、1円アルミ貨の重さです。1円玉の31枚分です。

現在、1トロイオンスで約10万円、1グラムが3200円~3300円付近です。
金それ自体の価値は、変わっていない。各国の通貨が、下がった。
これが、ゴールドの側から見る「反世界」です。

政府が管理する通貨(不換紙幣)の円は、明治以来の140年で、ゴール
ドに対しほぼ3200分の1に下落しています。同期間のドルは、金に対し、
約1000分の1に下落しています。

これが、政府が途中であれやこれや言っても、結局の、政府管理通貨
の帰結です。

今は、基軸通貨とされるドルを基準に、円安や円高と言いますが、ド
ルの価値の源は、米国政府の財政と米国経済の信用しかない。

米ドルに100円~125円でペッグしている円の価値も=ドルの価値=米
国政府の財政と経済の信用です。

▼米国の戦費調達のためだったFRB(中央銀行制度)

1914年の第一次世界大戦とともに、米国政府は、通貨に対し3つのこ
とを行います。

(1)戦費調達のための赤字国債の発行、
(2)金と交換できないペーパー・マネー発行機関としてのFRB(連邦
   準備銀行)の設立、
(3)そして「対敵通商法」です。

対敵通商法で、政府は、米国民がもっていた金貨証券を、強制的に買
い上げます。政府以外が、通貨用の金を保有することを犯罪とします。

民間の金保有は、宝飾用や工業用だけが許されることになった。
金の保有が犯罪とは驚きですが、当時はそうだった。

政府は、「通貨発行にゴールドの裏付けは必要ない、政府の信用が紙
幣の価値を裏付けている。」とします。これはあからさまな虚言です。

ゴールドが必要ないなら、なぜ、米政府が強制的に金を集めたのか、
大きな論理矛盾です。まぁ、このあたりはいい加減なものです。

(注)60年後の1974年(原油が4倍に上がった第一次石油ショックの翌
年)に、民間の金保有は合法化されます。

米政府は、国民と世界が、ドル紙幣よりゴールドを重視するのを恐れ
「アンチ・ゴールドキャンペーン」の論陣を張ります。

これは現在に至るまでも続いています。「金本位は野蛮な制度だ」
どういう理由で野蛮なのか。その説明はないのです。

▼金に対しドルの価値を半分に切り下げた1922年の「金為替本位制」

【再びの金本位だったが・・・】
米国内でドルは信用されても、海外との貿易には、まだゴールドの裏
付けが必要でした。そのため、1922年には、ドルは英ポンドとともに
「金為替本位制」を採用します。

米ドルは再び、金本位に戻る。ところが、金との交換率は、2分1に切
り下げられます。金の価格が2倍に上がったのと同じです。ドルの側か
らいえば、紙幣の価値が、半分に切り下げられた。

【ドル切り下げで、紙幣の発行可能量が2倍になった】
これは金が、米ドルで2倍になったこと同じです。金準備の量は変わら
なくてもその名目価値が2倍になった。

金の準備率が同じでも、ドル紙幣の面からいえば、通貨の発行量は、
同量の金に対し2倍にできます。

つまり、FRBによって、1922年からドルの大増札が行われた。人々
や企業は、銀行で多額のマネーを借りた。経済に対し、かつての2倍の
通貨量が発行され、価値が下がった通貨は、物価の上昇を予想し、モ
ノへの交換を求める。

つまり人々は、商品、住宅、株を競って買う。

【1920年代バブル】
これによって、1920年代には、車や家電を含む工業製品が飛ぶように
売れる好況と、資産性のある株価の高騰、及び不動産価格(特にフロ
リダ)の高騰が起ります。

1920年代の米国では、70年後の1990年代末の、日本と欧州の資金の流
入による米国の株価高騰(PER25倍)と、証券化金融による2000年代の
住宅価格高騰(3倍)と、同じバブル現象が起こっていました。2倍の
量になったペーパー・マネーがあふれることが、バブルをもたらし、
極点まで行き着いて、1929年に崩壊する。

【世界恐慌へ】
株価と住宅の過度の高騰が、1929年の暗黒の木曜日(株価・不動産価
格の大暴落)の原因です。

【原因と結果の、意図的取り違え】
金本位で、政府が任意に通貨の増刷ができないことが1929年の、世界
の大恐慌の原因であったのではない。しかし、学説はこれを通説とし
ています。困ったものです。金本位が通貨の増発を抑制し、信用恐慌
を招いたとする。

しかし真実は逆です。金に対しドルの価値を半分に切り下げ、ドル紙
幣を2倍の量も発行したことが、1920年代の資産バブルを生み、1929年
には、極点まで行って、その崩壊たる大恐慌の原因になった。

この点は、グリーンスパンが前号で紹介した1966年の論文で、指摘す
ることでもある。

●通貨の過剰発行を原因に、バブルがバブルを生んで、らせん状の株
価・地価高騰が続くのは約5年間くらいであることは記憶に値するでし
ょう。

日本の80年代後期(1985~1990年)がそうだった。米国の株価高騰(
1995~2000年)も同じ5年間です。2000年代の米国住宅価格の高騰(2
001年~2006年)も同じ期間です。5年という期間は、1920年代の米国
でも同じでした。中国バブル(2003年~2008年)も5年です。

株価の過度とは、期待純益に対する株価倍率(PER)の上昇です。
住宅価格の高騰は、普通の人がローンで買える金額を超える部分です
。1年の所得の3倍が、平均的な住宅価格の妥当値でしょう。

【ポンドの金兌換停止】
1931年には、第一次大戦後の工業力が弱体化(製造業の空洞化)して
いた英国が、ゴールドの流出を恐れ、英ポンドの金兌換を停止します。
(注)兌換=交換

【ニューディールは紙幣増発だった】
1933年には、ルーズベルト大統領が、1922年の「金為替本位制」を破
棄し、再び、国民から金を強制的に買い上げます。これで政府が紙幣
を増刷できるようになった。国民が金を重んじれば、紙幣増刷が有効
でなくなるからです。

翌1934年には、「金準備法」で、ゴールド1オンス(約31グラム)を$
20.67ドルの公定価格から、$35にします。ドルの価値は、20.67÷35
=59%に切り下げられた。通貨の切り下げとは、通貨の増発です。ド
ルの名目金額が約2倍に増えたのと同じです。

そして、1939年は、資源と植民地市場を求めた第二次世界大戦です。
このとき米国政府は、公然と価値がないと言ったゴールドを、国家に
とっての戦略物資とします。(注)今は、原油も戦略物資です。

■2.30年ぼろぼろになった「ブレントン・ウッズ体制」

以下では、ゴールドをめぐる歴史的な事実をたどります。

【米ドル基軸通貨体制】
第二世界大戦後の1944年に、ブレトン・ウッズ(ニュー・ハンプシャ
ー州)で成立した国際協定は、米ドルのみを金と交換できる通貨と決
めるものでした。

以来、国際交易で、信用ある貨幣として使えるのは米ドルになった。
ドルの基軸通貨(キー・カレンシー)制と言っています。
米国のみが、基軸通貨発行の特権を享受できる。

米ドルだけに、1トロイオンス(31グラム)のゴールドを、35ドルと交
換する特権を与える。他国の通貨は、ドルを基準に交換率を決める。
金を買うには、ドルを買わねばならない。ドルは買われ、世界通貨に
なった。

工場が破壊され工業資源もなく、豊富なものは人財しかなかった日本
円は、1ドル=360円とされた。これは、国際的に見て、日本人の賃金
が(今の中国のように)低くなり、物価も不動産も、安くなったこと
を意味しました。これが今の中国に似た輸出経済を作ります。通貨の
切り下げは、国際的に見れば賃金と物価の切り下げでもあるのです。

【ドルの裏付けは11万トンのゴールド】
戦勝国だった米国は、1949年には、空前絶後のゴールド(11万トン:
現在の時価で350兆円相当)を、各国から集めていました。

敗戦国である日銀の金も、ドイツやイタリアの金も米国が押収した。
占領軍は日銀の金庫を開けます。そのゴールドの少なさに驚いたとい
う後日談があります。誰かが、敗戦時に持ち出したのか?

有史以来、人類が発掘した金の量は、15.5万トン(50メートルプール
で3杯分:約500兆円)とされています。現在の産金量は1年で2500トン
(時価約8兆円)です。

世界の金の、全量の71%を米国が集めたのですから、すごい。そのう
ち、通貨用として米政府・FRBが準備したのは、2万トン(現在の時
価で64兆円)です。

これがドル基軸通貨制の裏付けとなるものでした。米政府・FRBは
は、公式には折に触れ「ゴールドは無意味だ」と言いますが、その実
際の行動は、反しています。(注)これが、ずっと続く嘘の基調です。

【通貨では米国一極の世界】
米国だけが、ゴールド準備の裏付けのある通貨を、発行できた。その
裏付けで、ドルのペーパー・マネーを印刷すれば、海外の株や不動産
も、自由に買えた。印刷されたドル紙幣(グリーンバック)が強大な
購買力をもった。他国の通貨は、固定レートでドルとペッグしていま
した。

ブレントン・ウッズ体制に、米国に過度の経済特権を与えると反対し
たのは、ペーパー・マネーの祖とも言える、イングランド銀行の理事
でありこれ以上聡明な人は世にいないと思われるケインズと、伝統的
に金に価値を見ていたフランスのド・ゴール将軍(1958~1969年の仏
大統領)でした。

(注)1ドルは360円でした。1ドルは0.89グラムの金と交換できたので
当時の円では1グラムの金が404円だったことになります。

今、1グラムが3200円付近です。ドルに対し3倍の円高($1=108円付
近)になったとは言っても、金に対しては、約8分の1に下落していま
す。これが、通貨価値の下落です。

【わずか15年】
しかし米国が、金本位の不徹底で欠陥だらけだったブレトン・ウッズ
体制を守れたのは、戦後の15年でした。

1950年代の末には、政府財政赤字と、経常収支(貿易+サービス収支)
の赤字のために、FRBによって過剰発行された米ドルが、欧州に
流れた。欧州大陸を徘徊する米ドル、「ユーロダラー」と言われた。

ユーローダラーも、公定レードの$35で、米国FRBがもつゴールド
1トロイオンス(31グラム)と交換できます。欧州は、ドル紙幣の価値
の下落を見て、金への交換を要求します。フランスやスイスがこれを
行った。

米国はドルの欧州流出によって、FRBのゴールドの準備量が、200ト
ン減る事態を迎えた。金本位をとる米国が、通貨を増発し、ドルが海
外に渡り、公定レート(1トロイオンス=$35)で金への交換を要求す
る事態です。これは、米国にとって困る。

【核の恐怖と冷戦】
1960年には、ソ連が、敗戦国のドイツにベルリンの壁を築きます。東
西冷戦の始まりで、世界は核兵器を、基底の暴力装置にした冷戦にな
る。第3次世界大戦への危機の意識は、市中のゴールド価格を上げます。

■3.米ドルの疑似金本位制の下でのゴールド価格

1960年の、ゴールド1トロイオンスは、$40(1グラム=$1.3)に上が
り、ドルでの公定価格35ドルと、二重価格になっていました。

スイスの銀行は、顧客に、価値が上がった金を買うように勧めます。
35ドルの投資で、瞬間に5ドル(14%)の確定利益があったからです。

▼米国は高騰する金価格を冷ます

翌1961年には、市中の金の高騰を恐れた米国は、米欧の7ヵ国(現在で
いえばサミット)で、「金プール制」を提案し、協定します。米国の
要請を断れる国は、なかった。NATOの軍事同盟で、米軍が、ソ連から
西欧を守っていたからです。

金プール制は、市中の金が高騰したときは、価格を下げるため各国政
府・中央銀行が持つ金を、市場の放出する国際協定です。

1962年には、ソ連(フルシチョフ首相)がカストロのキューバに、核
ミサイルの基地を作っていたことがわかり、時のケネディは、キュー
バに向かう核ミサイルを搭載していたソ連戦艦を大西洋上で止めます。
世界が、核戦争に震えたキューバ危機です。ソ連戦艦の不名誉な退
却で収束します。

▼ソ連の金は、スイスに流れる

南アにつぐ産金国でもあるソ連は、軍事費の必要から、スイスに大量
の金を売っていました。これが、上がりつつあった金の価格を冷ます
効果にもなった。

米国政府・FRBの金保有も、200トンのゴールドの欧州流出で1.8万
トンに減っていました。

■4.米政府は、金を買わせないための反ゴールド・キャンペーン

市場の金が上がった1960年代から、米政府は、「ゴールドは、投資対
象としては不適である、金は買わないほうがいい。」というキャンペ
ーンを張ります。このため、主流派のエコノミストも動員した。

エコノミストの論説は、どうにでもなると公言するのが、国際金融マ
フィアでもあります。

金融マフィアとは物騒な命名ですが、英国の、ユダヤ系ロスチャイル
ド財閥、JPモルガン・スタンレー、ロックフェラー財閥等を指します。
国際金融では、正式な名称です。

米国の中央銀行であるFRBの株式も、これら国際金融マフィアの所
有です。(注)欧州中銀の株は、ロスチャイルド家が持ちます。

▼【重要】ゴールドに対する長期戦略には、ここ数十年、一貫して、
これらの国際金融マフィアが深くかかわっています。

ある時は、代理人を使い放出する。価格を下げた時点で買いあさる。
ある時は、代理人(エージェント)を使い買い集め、高騰させ、売っ
て確定利益を出す。

金価格の突然の動きが不自然になるのは、このためです。

▼ベトナム戦費で米国経済は弱体化

1964年には、ベトナム戦争が激化し、米国の戦費が増え、政府財政は
大きな赤字を出す。資金調達のため売られたのが、金です。

しかしこの時期は、まだ米ドルは、金本位でした。このため通貨の発
行量はある程度は抑えられ、消費者物価のインフレは、1%レベルと極
めて低かったのです。

ベトナム戦争(破壊と、武器と物資の蕩尽)から、戦争用物資の輸出
で漁夫の利を得たのが日本です。父は貨物船の船員でした。一時戦火
のベトナムへ食料や他の兵士用の物資を運ぶ船に乗っていた。ベトナ
ム航路は、危険手当がついて給料が2倍になったからでしょう。想えば
うら悲しくなります。日本は米国の戦争で、経済を伸ばした面が大き
いのです。

しかし1966年には、ベトナム戦争の戦費のため、ドルが増刷され、米
国物価は3.4%上がるようになってきます。戦費は、兵器以外の生産に
は使われないからです。(注)1970年には、物価上昇は5.5%に上がり、
1980年は15%の高騰です。これが継続的な、ドル価値の下落です。
その原因は言うまでもなくドルの増刷です。

▼重要な根底:経常的な軍事費と特別戦費

ベトナム戦争は、2000年代の米国のイラク戦争(10年間の特別会計の
戦費見積りで300兆円相当:スティグリッツの推計)に似ています。

イラク戦争(13万人を派兵)で、ベトナム戦争で使った戦費を現在価
値に換算したとき、その60%を使っていると言います。

経常的な軍事費(50兆円)と、ほぼ10年サイクルで増える特別戦費(
数百兆円)が米ドルの価値を下げています。

米国の軍需産業は、70兆円(世界の70%)と大きい。軍需の顧客は政
府です。70兆円の兵器、戦闘機、戦艦、戦車、核兵器は国家しか買わ
ない。戦艦や核兵器がいくら増えても、米国民は豊かにならない。こ
れもエコノミストは一切、言わない。NASAの先端技術開発が、民
間にも迂回的に役立つ。そういえばインターネットのTCP/IPも軍
事技術でした。米軍は日本の顧客でもある。

【ローマ帝国】
古代ローマ帝国の滅亡も、戦費の増加からでした。米ドルが、長期で
下落することを想定できるのは、米国の政府支出に、軍事支出の70兆
円が、特別会計のどこかに隠れながら経常的に組み込まれ、産軍政の
複合体になっているからです。ネオコンのチェイニー副大統領が、軍
需産業の役員を勤めることは広く知られています。対テロ20年戦争を
宣言しています。20年の総戦費は邦貨で1400兆円でしょう。

クリントン時代(90年代の8年間)は、戦費の削減で、米国経済は浮揚
したのです。平和の配当だった。台無しにしたのが、同じく8年のブッ
シュ時代でした。

【金本位】
世界が、金本位制で徹底していれば、政府の国債発行による戦費の調
達に制限が加わります。政府は余分なお金を調達できないので、巨額
戦費がかかる戦争は短期で終わるか、戦争のできない時代になる。

インフレもなくなって、個人の貯蓄の価値が、長期で活きます。日本
政府の年金基金や郵貯でも、日本国債や米国債を買うのではなく、ゴ
ールドを買っておけばいいのです。(注)今からでも、決して遅くな
い。

■5.米国政府部門からの金の流出

ベトナム戦争の結果、1968年には、米国政府・FRBが保有するゴー
ルドは9300トン(公表:現在価値で約30兆円)に半減します。

各国の金拠出で運営されていた、金の価格を下げる目的の「金プール」
も維持できなくなって、金の売りが減ったため、1トロイオンスが$
44に上がります。

▼新たな国際通貨がSDRだった

1969年には、米政府の下部機関と言えるIMF(国際通貨基金)に、SD
R(特別引き出し権:Special Drawing Right)が創設されます。198
0年代のFRB議長になるボルカーの発案でした。

米政府・FRBは、増刷されたドルが国際基軸通貨として海外に流出
し、1トロイオンス=$35という安い価格で、金への交換を求めるため、
政府のゴールドが枯渇する恐怖に駆られていた。

ドルを公定価格で金に交換すれば、市場価格である$44との差額(9ド
ル:26%)の利益になる。米ドルは、金融引き締めで、海外のドルを
回収しなければならなかった。しかし、それを行えば金利が高騰し、
世界は不況に陥る。軍事費も出せない。

このSDRは、「新ドル」と言っていい。1SDRは、当初ゴールドの0.
888671グラムとされた。

妙な単位ですが、1トロイオンスのドルで公定価格が35ドルでしたから、
1ドルでいえば31.1035グラム÷35ドル=0.888671グラムになります。
つまり1SDR=1ドルでした。

FRBが発行するドルに、IMFが発行するSDRが加わったと言ってい
い。

このSDRを、米国はもちろん各国は、IMFから借りることができる。
ボルカーはのちにこれを、「ペーパーが、国際協定でゴールドに化け
た」と言っています。今、IMFへの拠出で1位は言うまでもなく日本
ですが、その総裁は、渡さない。

SDRという新しいペーパードールド(金証券)の発行で、金の価格
は、公定価格の$35に下落します。

■6.1971年の金・ドル交換停止

しかし米国の財政赤字は、増え続けます。今から思えば少ない額です
が、$107憶になった。この国債を、欧州が買う。

米国債には、金と交換ができます。米国の金は、ロンドンに集まった。
欧州の中銀は、ロスチャイルド家が支配しています。

米国からは、実に8000トン(現在価格で26兆円)の金が流出していた
のです。米政府・FRBが保有する金は1万トン弱に減っていた。

ブレトンウッズ体制が始まった1944年の、2万トンから半減です。これ
以来、米国は、政府所有のゴールドを公開しなくなります。そして今
は、いつも8,149トン(時価で26兆円)の保有と言う。実際は、わから
ない。

本当に米政府・FRBにあるのかどうか、疑問です。帳簿上だけかも
しれない。金準備は、FRBがあるといえばある。無いといえばない。
ゴールドは、通貨ではなく商品として買った時、あるいは売った時
は、IMFに申告しなくていいからです。

●1971年の8月10日、米国は、世界のトレーダーが夏のバカンスで南欧
に遊ぶとき、緊急会議を開く。ニクソン大統領は、8月15日(日本が無
条件降伏した日)を選び、一方的に「金・ドル交換停止」を発動しま
す。

米国は、自国の大統領令を、他国に押し付ける覇権力ももつ。
世界は、唯々諾々(いいだくだく)として、それに従う。
背景は、軍事力と、各国が輸出する米国市場の提供です。

1971年に、戦後の通貨制度だった、疑似金本位制のブレトンウッズ体
制が終わります。IMFの通貨であるSDRも、主要国の通貨を加重平均
にする通貨バスケット制に変わった。

1973年には、ドルを基軸にした世界の固定相場制も終わり、為替市場
での売買が決める変動相場になった。

米ドルは下落し、市場のゴールドは上がり、貿易黒字国だったドイツ
マルクと円は高騰した。日本は、円高で輸出が大変だという観点での
み、これをとらえたのです。通貨の上昇は、国民の富の増加であるは
ずなのですが・・・

●世界では金への投機が起こり、1トロイオンスで75ドル(約2倍)に
高騰します。いや、米ドルが35ドル÷75ドル=46%に下落したのです。

●ドル及びドルにリンクした世界の通貨の、実質価値(商品購買力)
の下落を見て、OPEC(石油輸出国機構)は、原油を1バーレルを$10に
上げる。約4倍の価格高騰でした。

ソ連圏を除く、自由主義経済圏の原油はドル価格で取引されていまし
た。そのドルの価値が下落するから、原油が上がる。こうした単純な
ことだったのです。(注)これは2000年代の、資源価格高騰と同じ原
因です。

米欧は、第一次オイルショック(1973年)で、一挙に、不況に陥りま
す。先進国の物価は、30%上がった。通貨の平均価値が、約30%下げ
たからです。わが国は当時、生産性の上昇があり、賃金も30%上げる
ことができ、これ以後、世界の経済大国になって行きます。

輸入国の所得は、産油国へ流出した。
このマネーは、オイルマネーと呼ばれた。

(注)現在、原油価格を1バーレル140ドルとすれば、原油輸入国(米
国、中国、日本、欧州)から、産油国(中東諸国、ロシア、ベネズエ
ラ、ナイジェリア等)に、1年で200兆円分の国民所得が流れます。第
3次石油ショックでしょう。

日本からは、他の資源価格高騰分を含むと26兆円です。これは、世帯
当たりで1年に40万円分(1か月で3万円分)の生活水準の低下です。1
973年と異なり、生産性と賃金上昇はない。直接に、実質所得が減るこ
とになります。これが今年の4月から激しくなった物価上昇です。200
8年の年末にかけ、5%は消費者物価が上がるでしょう。(現在は1.9%
の上昇)

1973年当時のアラブ諸国は、証券も株も、知らなかった。オイルマネ
ーは英国とスイスの銀行に預金され、スイスでは、金が買われた。

しかし多くは、英国とスイスの銀行を経由し、米銀に還流します。現
在の、産油国の、政府系ファンド(SWF:合計200兆円)の資金の流れ
とそっくりです。

1971年以後、世界の通貨は、ゴールドの保証を失い、政府・中央銀行
が管理し、通貨増発で継続的に価値が下落するペーパー・マネーにな
った。

そのため1970年代~80年代の世界はインフレ経済になる。1980年の米
国の物価上昇は15%でした。1973年~74年には米国株は戦後最大の暴
落をします。米国の弱体化を見たからです。1973年には、金は2倍に上
昇します。

●ここで、金本位を停止した1970年代の米国政府は、世界に向かい「
反ゴールド・キャンペーン」を行う。ドルのほうが金より強いとする。
政府が管理するペーパー・マネーがゴールドより価値があるとする。

ゴールドに通貨としての価値がないから、米ドルとの交換を停止した
という理屈にならない理屈ですから恐れ入ります。本当は、米国から
の金流出を恐れた結果であるのに、です。金の価値は、米国こそが、
よく知っています。そのための金・ドル交換停止だった。

●米政府は、金を下落させるための市場として、ニューヨークに金の
先物取引所(COMEX)を創設します(1974年)

同時に、米財務省が、手持ちゴールドの売却を発表し、現物と先物指
数を同時に売って、金の市場価格を下げる。また米国は、IMFの加盟国
(先進諸国)に対して、中央銀行の金準備(保有)を増やさないよう
(つまり買わないよう)に要請します。

●各国の政府にとっても、政府・中央銀行が管理できるペーパー・マ
ネーは有難い。政府赤字を許容するからです。そのため、先進諸国の
政府は米国の、金売りの要請に協力する。

このため1975年には、金は1トロイオンスで、127ドル(1グラムで$4
;当時の円では1グラム=1160円)に下げます。

●価格下落で利益を得ようとする投機の先物売りが、新設されたNY
のCOMEXで増えたためです。米政府は、金価格を壊滅させる好機
ととらえ、財務省は価格下落に追い打ちをかけるよう金の売却を発表
する。(1976年)

●ところが米国の意に反し、ゴールドの価格は、1980年(第二次オイ
ルショック:イランの王政廃止の革命:原油価格は4倍に上昇)の、1
トロイオンス$860(1グラムで当時の円で6495円=最高値)に向かい
急騰します。

     年間最高値        円価格
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1976年 1トロイオンス $140  1グラム 1435円
1977年         $168       1450円
1978年         $243       1480円
1979年         $524       3985円
1980年         $850       6495円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

米国の反ゴールドキャンペーンにもかかわらず、1980年の瞬間のピー
クは1トロイオンスで$850(76年の6倍)にも上げます。

●これは米ドルと、その米ドルを基軸にした通貨の、下落を意味する
ものでした。(注)円は、1ドル296円(1976年)から227円(1980年)
まで、対ドルで23%上げています。

●この間、上がる金を買ったのはスイス・欧州・アラブ・中国・イン
ドです。売ったのは、米政府・FRBです。恐らく、1976年から1980
年の5年間の売りで、1949年は2万トンだった米政府・財務省のゴール
ドは、枯渇しています。論理的な推測です。

(注)ただし、米国が保有する金ではない。米国は1949年時点で、政
府部門が2万トン、そして多くは民間金融機関が、少量は国民が9万ト
ンの金を保有していたのです。これはどうなったのか?

●しかし1980年代から2001年までのほぼ20年、米政府とFRBの売り
で、米国の株価高騰と逆比例するように、ゴールド価格は低迷期($
600~$300)に入る。

●この間、米国以外の、政府・中央銀行は、金本位を最後まで守った
スイスを含んで毎年、ほぼ400トンのゴールを売り続けたからです。

【謎が残る】金価格が最高値をつけた1980年代(1トロイオンス$850)
から、最低価格の2001年(同$271)まで、通貨をめぐる世界経済に
何が起こったのか? 以下次号で。

【参考:再掲:2002年を底とする金価格の高騰】

  【年間平均価格:1グラム】 【米ドルレート:平均】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1973年   $ 3.1   968円     269円
1980年   $19.7  4499円     228円
1985年   $10.2  2490円     239円
1990年   $13.6  1826円     145円
1995年   $12.8  1209円      96円
2000年   $ 9.0  1014円     108円
2005年   $14.3  1619円     111円
2008年8月  $30.1  3249円     108円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■7.7年前の、9.11の直前と直後のメールマガジンの引用

7年前の無料版・有料版から、継続してお読みの方には、ご記憶の方も
あるかもしれません。2001年の、9.11が起こる直前に送ったものに、
以下のように書いています。原文のままです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼2001年9月11日(9.11の直前号)

米国発のニュースが一色になったとき、疑いに値する

米国経済からは、悪いニュースのオンパレードです。警戒しなければ
ならない状態にあるのは事実。しかし、もう1歩考えを進めなければ
ならない。本来は、多色であるべきニュースが一色になるとき、米国
では、操作が加わっていることが多い。
(常に、ではないのですが)

経済では、売りがあれば、同じ量の買いがあるのです。
背後での「戦略的準備」の前兆を感じます・・・
(変動相場制の金融か、エネルギーか、資源か:9月11日早朝)

(注)これを送った直後が、あの9.11でした。実に、びっくりしまし
た。陰謀の匂いが強い9.11とは、一体、何だったのか?

▼そして、9.11の後に送った「2001年9月13日緊急号」

【2000年時点での集計です。その後8年経っています。】

         産油(00年)   埋蔵量   可採年数
         kリットル     kリットル
―――――――――――――――――――――――――――――
サウジアラビア   4.7億    412億   88年
ロシア       3.7億     77億   21年
米国        3.4億     34億   10年
イラン       2.1億    142億   68年
中国        1.9億     38億   20年
・・・・
世界合計      39億    1635億   42年
うち中東分     13億    1087億   87年
―――――――――――――――――――――――――――――
    (データ:オイル・アンド・ガスジャーナル1999年)

【猶予期間は2~3年】
あと2~3年も経てば、その後8年(つまり2008年)で米国石油が枯
渇することが騒がれ、第三次オイル・ショックが起こることは必然で
ある。

・・・(2001年)現在、1バーレル(1本のドラム缶の量)$30の原
油は、暴騰する。(事実、その後4倍~5倍に上げました。)

【中東が生命線】
埋蔵量が多いのは、可能採掘年数87年の中東です。中東を押さえ、
石油市場を支配することは、米国の繁栄の生命線になってきている。

【国家安全保証が米国大統領のミッション】
米国は、国家経済の安全保証に、中東支配を必然的な戦略とする。

できなければ、米国は、中東・イスラム原理主義の価格操作のうえで
踊らされる国家になることが決まる。米国はそれを許容するか?
(注:2003年は、これを防ぐためのイラク戦争でした。)

イラン、イラク、フセイン、ビンラディンも、ブッシュ共和党もそれ
を知っている。この視点が、9.11事件の背景になっているのは、間違
いないであろう。

・・・1971年、貿易赤字になった米国は、金とドルの交換を停止
した。ちょうど30年前、金本位制は、突然終わった。ニクソン・シ
ョックといわれる。それから、第一次オイルショックが起こり、世界
は、ペーパー・マネーの、変動相場制に移行した。

その後30年。30年は、1世代の経済体制が変わる期間です。

・・・英国とスイスを含む西欧の中央銀行は、(80年代から90年代に
毎年400トンくらいずつ)手持ちのゴールドを売ってきた。だれが、安
く買ったのか?

売られたものは、その主要部分を、米国の年金基金が買っている。知
られていない事実であるが、米国は、(政府とFRBは金を売っても)、
国としては1オンスの金も手放していない。

これは、何を意味するのか? どんな戦略か?
約20年(1981年~2000年)、米国はなぜ、下がった金を黙って買い
つづけたのか?20年という長期間の戦略は、実際にありえるのか?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

以上、7年も前の、古い記述を振り返りました。事態は、原油、ゴール
ド、資源を含め、予測通りに推移しています。穀物の高騰が予想外で
した。

隠れた金本位主義者グリーンスパンは、やはり、答えを持っていまし
た。同じ2001年の、9月13日号からの引用です。書いた私も、これを忘
れていました。

【グリーンスパンの狙い】
FRB(米国連邦準備制度)議長アラン・グリーンスパンは、1999年
5月20日の下院銀行委員会で以下のように答えています。

議員の質問:
<アメリカも、イギリスが保有金売却を決めたように金売却をすべき
か?>

グリーンスパンは答えた。
<アメリカは保有する金を売りに出すよりも、むしろ、その金準備に
固執すべきである。なぜなら、金は依然として世界において究極の支
払い手段であるからだ。例えば戦時下の1944年にドイツは金があ
ったので、初めて軍事物資を購入することができた。金はいつでも受
け入れられるのだ。>(『金復活』高橋靖夫:2001年3月 P3
17)

ここに理由があった。グリーンスパンは、明確に答えている。

政府のペーパー・マネーが信用を失う時、言い換えれば、(世界の)
ドルからの逃避が起こるとき、頼りになるのは、原油(黒いマネー)
と、輝くゴールド。グリーンスパンは、そう認識している。

▼ペーパー・マネー時代の終焉(しゅうえん)か?

(昨日)、グローバル経済のシンボル、世界貿易センタービルの崩壊
を見ていて、30年間のペーパー・マネー経済の終焉を予感したので
す。

「ついに清算の時が来た」と思った。

今後1ヶ月も2ヶ月も、テレビは、ペーパー・マネー経済の、象徴だ
った世界貿易センタービルの崩壊の映像を、繰り返し流す。

これに早晩、アフガン、パレスチナ、アラブとの戦争の映像が加わる
だろう。人々に、ある時代が終わったことが、焼きつけられる。

米国は勝利できるのか。1991年1月の湾岸戦争で、負けたと言わ
れるフセインが、敗戦後も国の英雄でありイスラム世界の英雄であり
続けられているのはなぜか?

紙幣はみんながその価値を信用することによってのみ、通貨としての
価値をもつ。それ以外に、通貨の成立根拠はない。

(1971年のあと)30年もドルを基軸通貨とするペーパー・マネーの
時代が続いた。

米国の国家的威信、軍事力、米国経済がその裏づけだった。世界の、
ペーパー・マネーの総量の増殖は、まず日本でバブルを生み、そして
その10年後の米国で(株と不動産の)バブルを生んだ。

オイルと、ゴールドの、実物の価値の裏付けが必要になってきたので
はないか?

■1.いよいよ、欧州の住宅価格下落が露呈した

▼(1)平均値の性格

統計データの「平均値」は、実態から3か月~6か月は遅れます。平均
値を、ほぼ2倍から3倍したものが、下落や高騰の激しかったところの
中心と認識できます。

米国住宅の下落(S&Pケースシラー指数)の、10都市平均マイナス
16.9%は、下げの大きな地域(ロス地区)では、2倍の30%を超えてい
るでしょう。

ロス地区でも、過去の高騰が大きく、今の下落が激しい地域は、その
1.5倍の、マイナス45%程度でしょう。半額(8000万円→4000万円)で
も売れない物件が多くなってきた。

(注)サブプライム(120兆円)だけでなく、オルトAローン(120兆
円)、そしてプライムローン(1200兆円)の延滞にまで及んでいます。
これを示すのが、520兆円の住宅ローン証券を保証するフレディ・マッ
ク、ファニー・メイの、実質的な倒産です。

標準偏差の、正規分布カーブを思い出してください。
分布を想定することが、平均値からの「読み」です。

【政策当局の発表は、歪む】
数字が下落に向かうとき、常に、世界の政府、金融当局、金融機関、
そして随伴エコノミストは「都合のいいデータ」を取り上げます。

そのため過去の政策責任の逃れと、今後の政策に都合のいいことを言
う歪んだものになります。

07年8月では、FRB(米中央銀行)は、住宅関連証券の損失は10兆円
でしかなく、さして問題ではないと言っていました。

ひどいものです。(注)ゴールドマンサックスだけは、120兆円の損に、
拡大修正しています。しかし、これでも甘い。

08年3月に、サブプライムローン問題は終結したと言っていた日本のメ
ディアは、米メディアに乗っただけのことです。根拠を自分で調べる
姿勢も、論理力も弱い。メディアから読むときは「なぜ、そう言うの
か。その根拠は?」と問うことが必要です。

▼(2)実際の損失は?

米、英、スイスの主要金融機関の4半期決算で、表面化した損失は、1
年で46兆円。これでも(現時点で)、将来または子会社への「損失飛
ばし」が別に100兆円はあると見ています。

加えて、過去に売られた住宅関連証券は、市場が消えているので(誰
も買わず、売れば二束三文)、評価の自己査定を、当局が認めていま
す。

米国の時価会計における粉飾(平時なら刑事事件)です。日本政府も、
かつて、大蔵省(西村銀行局長)がこれをやりました。

実際の損は、200兆円を超えているはずです。乗数金融(レバレッジ)
は、損も利益も拡大するからです。米欧の金融機関の合計自己資本は
200兆円です。米欧の金融機関の自己資本は、現時点の時価会計の実態
では、ゼロかマイナスでしょう。

【30倍のレバレッジ】
米欧主要金融機関の、平均での、自己資本に対するレバレッジ率は約
30倍です。

したがって、200兆円×30倍=6000兆円が、相互に持ち合った運用総額
です。6000兆円の証券が4%縮小しただけで、240兆円の損が生じます。
これが、まだ隠されている。複雑なことではない。単純です。

2006年までのバブル利益は、レバレッジのため巨額でした。
その巨額さに正比例した損が、同じレバレッジで、出ます。

少ない自己資金で、金融機関やファンドが、軒並み投機した結果です。
その投機のための資金が、世界の信用膨張でした。

「経済が成長している米国の住宅が、高齢化した日本のように下がる
はずはない」という自己強化の神話に、支配されていたのです。

■2.世界の株価下落は、信用恐慌を示唆する

住宅関連証券の下落による損失に加わる、証券の価値下落の本命は、
株価です。

世界の市場の、加重平均の合計株価指数は、2007年12月末に比べ16.3
%下落(英エコノミスト集計:08年8月初旬)しています。いずれも、
米ドルでの価格換算です。

金融市場が、08年6月、7月からの欧州の住宅の下落を認識すれば、世
界の株価はもっと下げます。

▼(1)世界の、同時株価下落:08年8月初旬

・ユーロエリア(ユーロ100)が-22.7%、
・新興国が-21.8%、
・米国(S&P500)が-12.4%、
・日本(日経225)が-12.5%、
・中国(上海SSEA)が-50.5%です。

【1000兆円の含み損+表面化する損】
世界の、50市場の株価時価総額は、07年10月のピークに6000兆円はあ
りました。

今までの下落で失われた信用総額は、600兆円×(-16.3%)≒1000兆
円です。

株価も地価も、上げは上げを呼び、逆に下げれば下げを呼ぶものです。
ファンドは、10倍から30倍のレバレッジをかけて買い(または空売り)
するからです。

1000兆円(世界のGDPの20%)は官・民・金融機関の資産の時価で
の、(今のところの)株価での損です。

中国だけでも、250兆円の時価が失われました。
世界的規模で、資産価格の崩壊が起こっているとみなければならない。

今、世界信用恐慌の3合目あたりでしょうか。

前置きが長くなりましたが、欧州の住宅価格の下落です。
・英国       -8.1%(7月)
・アイルランド   -9.5%(5月)
・スペイン     -3.1%(6月)
・ドイツ      -4.5%(6月)
(注)日本     +0.7%(3月:現在は下落)

フランス、イタリア、デンマーク、北欧も、これに続きます。欧州全
体の住宅価格の高騰額は、米国全体より大きかったからです。

注目すべきは、住宅価格高騰が小さかったドイツすら下げていること
です。これは、ドイツの金融機関の信用収縮(=銀行間の貸し借りの
減少)が、大きくなっていることを示します。

▼(2)ユーロ高は、ユーロへの資金流入だった

2000年以降の、米ドルや円に対する1.6倍、1.7倍へのユーロ高(ユー
ロ買いの超過)で、世界のマネーがユーロに集まっていた。

米国の住宅価格高騰と同じく、欧州の不動産も、統一通貨ユーロにお
金が集まることでの、金融相場でした。

米国の住宅価格高騰は、不均衡が原因の貿易黒字の資金で、世界が米
国の、AAAの格付けの国債、社債、住宅関連証券を買ったためです。
今、格付け機関の信用は、地に落ちています。「計算間違いがあっ
た」と告白するのですから、語るに落ちます。

欧州で言えば、スペイン(マドリッド)の普通の郊外住宅(約100平米)
の8000万円~1億円は、バブル以外の何ものでもない。

庶民が住宅ローンで買える妥当な価格は、半分以下です。バブル的な
高騰が終わったあと、上記の3%程度の下落で済むわけもない。

3年前にスペインに行き、街を見ながら、今の、貴国の住宅と株は50%
以上が、明らかにバブル価格です、普通の人は、ローンで買えないか
らと言ったところ、現地の人は「そうですか・・・?」という弱い反
応でした。異星人に思えたのでしょう。

バブル崩壊は、経験しないとわからない。熱狂のさなかに、信用(マ
ネー)の膨張という暗雲がある。「実需」ではなく、売り渡すときの
利益を狙う投機の「仮需」で売れる。その価格が、実需の価格と誤認
される。

17世紀のオランダのチューリップや、18世紀の英国の、南海株式会社
の泡沫株と同じです。自分だけは間違わないと思う人が、大勢になる。
相場は、その極点で暗転します。親族の経験で、痛く知っています。

▼(3)米国の1年遅れ

予測すれば「欧州の住宅価格は1年遅れて米国を追い、少なく見ても、
全平均で30%は下落する。」 また来た道。

欧州の半年遅れで、世界から投資マネーを集めていた中国の不動産価
格も、下落します。上海の株価の50%の下げは、不動産価格に半年先
立ちます。不動産は、株より流通性(換金性)が弱いからです。

【ゴールド・原油・資源も下げているが・・・】
そして今、ゴールド・原油・資源は同時に、15%から20%くらい下げ
ています。原因は、ファンドの利益確定売りです。

ここ1年の、株価と住宅関連証券で損を蒙った金融機関やファンドが、
連れ買いによる資源高騰で利益の出たものを、価格がピークと見て売
っています。そして一時的に、米国株へ避難しています。

本来は、もっと下げねばならない米国株の下げ幅が、12.4%と低いの
はこのためです。(注)世界のヘッジファンドの平均損は、5.5%(0
8年8月:英エコノミスト誌)です。

原油と資源は、世界の景気後退からの、2009年の実需の弱さを反映し
た下げでしょう。(注)しかし、ゴールドは異なると見ています。

【根拠のない空論が再び】
2008年夏、「米ドルは強い(=米国株は強い)」という根拠のない論
が、米国政府発と官庁エコノミスト筋から出始めています。

資源や穀物の先物を売って利益確定し、買った株の追随買いを誘い、
高値で売り抜けるためです。利用されるのが、大衆や投資信託での、
遅れた買いです。これも、ひどい。

▼(4)もぐらたたき相場:ホット・ポテト現象

今の国債(金利)、株、資源、エネルギー、穀物、そして金は「もぐ
らたたき相場」です。

●もぐらたたきが起こる根底は、基軸通貨である米ドルの、赤字を補
う過剰発行を原因とする実質価値(購買力)の下落です。誰も、長く
持てない。

「ホット・ポテト現象」と言います。茹(ゆ)でた、熱いじゃがいも
(高騰した価格)は、長くは持てない。ほうり投げられ、買い手が移る。
人手にわたるうち、とどのつまりは冷えたじゃがいもになる。

【困った事態:中東とアジアからの買いがドルを支えている】
米ドルは、今、生産力が弱体で自国通貨の信用が弱いため、ドルにペ
ッグ(ペッグ圏内での固定相場を中央銀行が維持)している中東とア
ジアからの買いで、支えられているに過ぎない。

米国は総額で$20兆(2000兆円)の対外債務です。2000兆円分の、米
国債、社債、住宅関連証券、他の債券が、海外の手にあるということ
です。

ドル建て証券が一斉に売られ、30%(600兆円)も下がって、損をして
はたまらない。やむなくドルの支え買い(恐怖の買い)をする。困っ
たものです。買い支えが続けば、「恐怖の買い」が膨らんだ結果の崩
落は、一層大きくなるからです。

下げるときは、妥当に下げねばならない。
中央銀行は、本当は、その政策(利上げ)を取るべきなのです。

それが、後の大きな恐慌を防ぐのですが・・・その論理でいえば、F
RB(米中央銀行)やECB(欧州中央銀行)が、金融崩壊を防ぐた
めにマネーを増刷すると、増加マネーで無理に維持された証券相場の
崩壊は、もっと大きくなるのです。自滅が好きなのかと思ってしまい
ます。

米ドルが下げるのは世界の共通認識です。フィナンシャルタイムズに
は、いつも、世界の通貨に対するドルの価値下落が示されます。

そうなっては困るというのが、2000兆円分の証券をもつ世界の金融機
関、ファンド、個人投資家です。

■3.米ドルの弱体の原因は、構造的なものである

米ドルを弱くするのは、(1)政府の財政赤字、(2)医療費・年金を
含む社会福祉費、(3)不況を避けるための減税、(4)そして極め付
きが、イラクやアフガンを含む中東地域での戦費(1年30兆円相当)で
す。

赤字構造が変わらない限り、途中での波動はあっても、長期では下落
します。わかりきったことです。

▼先進国の長期への認識

加えて、今後の先進国の高齢化で、結局は、政府部門の支出増になる
医療費と年金を増やすため、各国の通貨価値は下落します。

【民主国は、ペーパー・マネーを刷るから・・・】
民主国は、不況の時は国債(ペーパーマネーの根源)に数字を書いて
売って、海外や国内の民間から得られたマネーで公共事業や減税を行
う。

わが国では箱モノ、ダム、空港、港湾、河川、山林ですが、米国にと
っては戦争が、失業を吸収する大きな公共事業です。

社会福祉費の削減や、赤字を補う増税は、選挙での与党の支持を減ら
すので行えません。財政を絞っても、その次の政権は、振る舞いの政
権になる。(注)改造後の福田政権も、路線を転じ、補正予算を検討
しています。

中東(サウジ、UAE、クウェート)のような王政も、王の人気のた
め財政を大判振る舞いし、通貨は緩む。そのため、物価が上がる。

ペーパー・マネーを使う政府部門は恒常的に赤字になり、経済に必要
な量以上の通貨を発行する傾向を続けます。

現代世界では、長期で見れば、通貨の価値は下落します。これを示す
のがゴールドの高騰です。

▼相対的な、高騰と下落
1971年から変動相場制は、各国通貨のなかで、
・1980年代までの円、
・90年代のドル、
・2000年代のユーロのように、相対的に価値が上がる通貨を生みます
が、比較で上がった通貨自体が、その実質価値(購買力)が下落して
いるのです。

【基軸通貨という基準】
米ドルを基準に見れば、これが見えません。物価や通貨を計るその基
準(基軸通貨:ものさし)自体に、通貨(信用)の膨張のため、40年
も、価値下落が続いています。

火星に、別の高度な経済世界があって、地球と交易していると仮想す
ればわかるでしょう。これが、10年や15年サイクルで大きく襲う物価
と資源の価格上昇です。

【本質】
ゴールドの裏付けと発行制限を失った、世界のペーパー・マネーは、
政府財政での必要を原因とする拡張的なマネー政策(過剰発行)から、
価値が下落する。これが本質です。

(1)前稿では、1980年の、瞬間的なゴールド価格高騰(1トロイオン
ス=$850:当時の円で1グラム6495円:円では今の約2倍)のあと、
01年の$225まで、約20年もの下落に入ったことまでを示しました。

(2)2002年までの20年、米ドルの価値は、日欧からの資金流入が支え
ましたが、$の通貨としての価値は、一貫して下落しています。この
通貨価値の下落の中で、なぜ金価格が長期で低迷し、下がったのか、
です。これを解かねばならない。

(3)さらに、2002年からの、約4倍への高騰($250→$1000:1トロ
イオンス)の裏には何があるのか、何を示すのかです。

■4.1980年以後の、ゴールド価格の下落と低迷の原因

【(1)1980年】
1980年1月の、中東危機からの、ゴールド急騰の$850(いずれも、1ト
ロイオンス:31.1グラム)は、イラン・イラクの、スイスでの金購入
によるものでした。

【(2)オイルマネーが金を買う】
中東諸国は、第二次オイルショックの原油価格高騰による輸出マネー
を、英国とスイスへの預金と金買いに注いだ。

当時のイスラム諸国(イスラム金融)では、株や証券の意味が知られ
ていなかったからです。

金の高騰を受け、世界の中央銀行と個人は、金売りに殺到します。価
格は、すぐに$600に下げた。しかし、それでも高かった。

【(3)米国の、ペーパー・マネーの超高金利】
当時のFRB議長ボルカーは、米国物価の2桁インフレを抑えるため、
プライムレート(優良な金融機関への優先貸出)の金利を21%に上げ
ます。

●インフレの対策は、利上げです。この政策は、正しかった。

(注)今の、米欧でのインフレでの、中央銀行の利下げは間違ってい
ます。低金利を続ければ、金融要因でのインフレが昂進し、あとの信
用崩壊がもっと大きくなるからです。

【(4)ドルの信用回復】
この80年代初頭の利上げが、ペーパーマネー(米ドル)への信用を回
復させます。米国の銀行に預ければ、あるいは外貨預金でも、21%以
上の確定利回りがあるからです。過剰な負債の企業は倒産し、高金利
で利益を出せる企業に資金が回る。

・高金利策と合わせ、米国政府が行ったのは、
・所得税の最高税率を70%から25%へ下げる、超減税でした。
これによって民間消費は救われた。

【(5)しかし、減税で政府財政は赤字へ】
●他方、米国の政府財政は税収の減で、以後、大幅な赤字に陥ります。
ドルの高金利で、海外からの資金流入に依存する経済に変わる。

多額にドル建て証券を買ったのは、日本、西ドイツ、そして中東でし
た。これは、レーガノミクスと言われた。英国のサッチャーイズムで
もあった。

米英は、商品は輸入し、世界からマネーを集める金融経済になって行
きます。

【(6)見捨てられたゴールド】
1980年代の金価格は、$850から下げて、$300(1982年、1985年)か
ら$500(1987年:株価急落のブラックマンデー)を波動するようにな
ります。

一方でゴールドは産金技術の高度化で、1980年の1年に862トンの生産
から、1990年の1764トンに向い増えて行く。

産金コストは、1トロイオンスで300ドル付近でした。
つまり、マーケット価格より低価格のゴールド供給が増えた。

1981年には、時のレーガン大統領(金本位主義者だった)は、金本位
への回帰を、「金委員会」に検討させています。しかし結論は、「ノ
ー」でした。金には通貨性はない。単に商品だとして、ゴールドの価
値否定をした。

【(7)資源価格の長期低迷】
第二次オイルショック後の、原油を含む資源価格は、1981年がピーク
で、ドルの高金利のため、その後は下落に入ります。

資源価格が上昇気味になるのは、その18年後の1999年でした。

【(8)資源や金に変わり、株が大相場へ】
1982年に始まったのが、米国株の大相場でした。
資源より、株が買われた。

この後、米国株はダウ平均で$800から$1万1000まで、ほぼ一直線に
上がる傾向を示すようになった。

これは海外(日本、ドイツ、産油国)0からのドル買いと、国内の個人
年金資金401Kによるものでした。

【(9)1990年代】
1990年代は、米ドルのペーパー・マネーの増刷時代でした。
しかし、金価格は、下げ続けます。
価格が下げる金は売られ、高騰する米国株が買われたからです。

その原因は5つでした。

(1)世界から金を集めていたスイスの銀行が、低迷する金を投資のポ
ートフォリオからはずしたこと。これによって、スイスと英国のプラ
イベートバンクで運用される産油国マネーも、米国の証券買いに変わ
ったのです。
(2)米国株は、世界からの買いで大相場。PERの上昇。
(3)各国中央銀行は、米国の呼びかけに応じ、金を放出します。
(4)若い世代は、金はもう古いとして、株を買った。
(5)1980年代に、金産出に技術革新が起こり、年間生産量が1764トン
と、1980年の962トンの1.8倍に増えていた。これによって、世界の宝
飾需要を十分にまかなえるようになった。

1990年代は、ソ連帝国の崩壊から、東欧と中国を含む旧共産圏の、安
価な労働力が、自由圏への輸出経済を作った時期でもあります。

●これによって、パーパーマネーの増刷にもかかわらず先進国の物価
上昇は抑えられ、「資源も物価も上がらない。他方、株価が上がる。
住宅が上がる」経済になって行きます。

米国では、製造業が比重を低下させ、金融業と情報産業が大きくなる。
マイクロソフトやインテル、そして銀行・証券です。

1996年の、各国中央銀行の、通貨性の金準備(ゴールドバー)は、3万
4726トンでした。当時の時価(1トロイオンス=$387)で、$4160憶
(42兆円)です。

●スイスの銀行が金を売却したため、金価格は$300水準へ低下したの
です。イングランド銀行も金を売った。そのため、金価格は1999年に
最低価格である$250を付けます。かつての買い手が、「なぜか」売っ
たのです。

●重要なことをいえば、「金は通貨として価値がない」というキャン
ペーンを、1980年代から1990年代の米国政府・FRB、そしてエコノ
ミストが行ったことです。なぜ、これを行ったか?

マネー発行に、ゴールドの裏付けが必要と言えば、政府・中央銀行は、
困るからです。ペーパー・マネーの発行が、80年代、90年代で巨額
になっていたからです。しかし、消費者物価は上がらない。これが、
金を否定する有力な根拠になったのです。

ペーパー・マネーを発行しすぎれば、経済原理では、物価が上がるは
ずだ。しかし、金利を下げ、金融を緩めても物価は、一向に上がらな
い。

他方、資産性の不動産と株は上げる。
信用のもとは、ゴールドではない。
株と不動産と、米国の政府信用である、とされた。

●消費者物価が上がらないので、これでいいではないか、としたので
す。この政策を推進したのが、米FRB議長のグリーンスパンです。
(注)グリーンスパンは、若き日は金本位主義者だった。しかしFR
B議長としては、裏腹なペーパー・マネー政策をとります。

●先進国のぺーパーマネーの増刷にもかかわらず、90年代の先進国の
消費者物価が上がらなかったのは、別の理由があった。

冷戦が終わり、旧共産圏の安価な労働力(約20億人)が、米日欧の自
由主義経済圏に、大挙してなだれ込んだからです。

これを「グローバル化」と言った。グローバル化の中で「商品とマネ
ーの帝国循環」を作ったのが米国経済でした。

帝国循環が成立したのは、赤字のために刷った米国債券を貿易黒字国
が喜んで受け取ったからです。

日本、アジア、ドイツ、ノルウェー、中国、ロシア、東欧、スイス、
中東、南米は、ドル債券を巨額に買っていた。(注)バブル崩壊期の
日本すら、ドルを買い続けます。ドル安・円高は輸出に困るからです。

90年代に始まった、中国を含む低開発国の経済発展は、国際信用のな
い自国通貨より、米ドルを信用した。米ドルに従属するドルペッグの
通貨がどんどん増えた。(注)日本は、輸出のため、ドル安定として
財務省・日銀が円売りに介入します。

インターネットで世界化し、瞬時に動くようになったマネーの流れは、
基軸通貨であるドルの使用価値を強化します。

世界が、増えた貿易のため、どの国も信用するペーパー・マネーであ
る米ドルを必要とした。90年代の米国は、ペーパー・マネー金融のロ
ーマ帝国でした。

どんなにドル証券を刷っても下がらず、米国は困らなかった。90年代
の米ドルは、海外からの買いで過剰評価されていた。株は上がり、住
宅が上がった。金融業の利益は、全製造業を超えるように肥大します。

(注)2008年現在、この赤字のつけが巨額になって、$20兆(2000兆
円)です。

●2002年までの金価格の下落には、米国FRBの呼びかけに応じた各
国中央銀行の「金を壊滅させる」政策も加わっていました。

歴史的に言えば、1940年代は、世界の中央銀行の金準備は、通貨発行
の70%もあった。

現在は、これが25%です。ペーパー・マネーは、ゴールドに対し、約
3倍に増えています。(注)金が2008年に1990年代の3倍~4倍に上げた
のは、これが理由でしょう。金本位は、マーケットでは生きています。

米国が金ドルの交換を停止した1971以降、世界の中央銀行は、政府信
用を裏付けにしたペーパー・マネーの発行機関に転じます。

本当のところは、米国が、1トロイオンスが$35で交換されるゴールド
の流失を恐れ、金ドル交換停止を発動したのです。

流出を恐れる理由は、金に価値があることを、FRBが知っているか
らです。金に価値がないなら、米国からの流出を恐れる必要はないは
ずです。

しかし、世界が、ペーパー・マネーのドルより金に価値があるとすれ
ば、ドルが暴落し、金が上がる。これは、ペーパー・マネーやドル証
券を海外に売る米国にとって困る。

「金は価値がない」と言わねばならない。言うだけでは効果がない。

実際に、金の市場価格を下落させねばならない。そのためには中央銀
行が、金を放出すればいい。しかし手元の金がなくなっては困る。ど
うするか? 市場に金をあふれさせればいい。方法はある・・・

■5.1999年の金リースの開始で金価格にとどめを刺す

●金の現物を中央銀行に残したまま、市場にあふれせる方法が、1999
年に始まった「金リース」の開始でした。変な制度です。

中央銀行が、金利1%~2%という低利で、ゴールドを金融機関にリー
スする。1999年末の、各国中央銀行の金の持ち高は3万3500トンでした。
通貨性のゴールドバーのほぼ全量です。(注)有史以来の金産出の
総量は15.5万トンです。

米欧の金融機関は、中央銀行から借りた金に、1%から2%の金利を払
う。この金を、金鉱山に、リース料3%~4%を上乗せし売る。

金鉱山は、自分が産出できないときも金を売るため、この3%~4%の
金利を払って、金を買ったのです。そして、後の生産でリースを返却
する。世界の金需要は増えていたのです。

金融機関はこの「金キャリートレード」で安定した利ざや(濡れ手に
粟)を得ます。他方、市場には、中央銀行から借りた金があふれ、流
通する。これによって、金価格が$275に下げたのです。

1999年当時も現在も、年間の産金量は2500トンです。しかし、金の先
物市場での1日の売買高は、1日で1000トンに増えていました。
金リースと、金証券を売買する先物市場によって、です。

現物市場だけにしておくなら、1980年のように、金は高騰したでしょ
う。

しかし、中央銀行が金を貸す金リースと金証券の先物市場で、金が市
場にあふれる。金価格は、上がらないように変わります。

これが、1990年代でした。(注)下げた時に買い、上がった時に売る
のが、投機の常とう手段です。

●米政府・FRBは、1999年の9月には、各国中央銀行の金リース量を
制限する政策をとって、合意させます。

「1999年ワシントン合意」と言っています。これによって、金の流通
量が減り、1トロイオンスで$275(1グラム890円)に下落していた金
は$330(1グラム1065円)に上がる。(注)1ドル=100円で計算して
います。

ワシントン合意の裏に何があったのか? 何の発表もない。論理的な
推測によるしかないのです。

●おそらく世界の、通貨性のゴールドバー(3万3500トン)の多くが、
金価格の低迷の時期(1981年~1999年)にどこかの手に落ちた。

これが金リースを制限する「1999年ワシントン合意」の原因でしょう。

その間、米国株は上げ続け、1993年のダウ3000ドルは、2000年には1万
2000ドルになる。世界は、金の増加買いをしなかった。

逆に、米国以外の中央銀行は、公表では1年に約400トンの金を、売り
続けた(とされています)。

通貨性の金(ゴールドバー)の売買は、IMFに申告することになっ
ています。しかしその売買を、勝手に「商品性の金」とすれば、申告
は要らないといういい加減な協定です。

どの手にゴールドが落ちたのか、実際は分からない。世界の中央銀行
の持ち高は、相変わらず3万3500トンとされています。5万トンの船に
乗る量ですから、少ない。

ゴールドが上昇を始めるのは、イラク戦争の1年後の2002年からです。
原油と資源価格、住宅価格の高騰も、この年から始まっています。

何が原因か? 次稿で、米ドルが下落し、統一通貨ユーロ、資源、原
油、ゴールドが上がった2002年以後を追求します。

ペーパー・マネーのドル神話が停止したのが、米軍のイラク占領が泥
沼化した2002年に思えるのです。円は、ドルの従属通貨です。(以下、
次号で)

給料は円です。円で見れば、物価が上がったように見える。
本当は、通貨の価値が下げているのです。
■1.グルジアの枢要な意味

▼輸送路

サウジを超える埋蔵量が確認されているカスピ海の原油と天然ガスの
パイプライン(ロシア軍のミサイルで爆破)があるグルジアは、米欧
とロシアの、軍事対立の焦点でもあります。

劇場での惨殺など、ロシアからの独立戦争(2002年~)で悲惨な戦い
があったチェチェン(グルジアの北東)も、パイプラインの敷設地帯
です。アフガンでも、カスピ海から原油を運ぶためのパイプラインの
敷設が、いつ終わるとも知れない地域戦闘の原因です。

グルジアの戦争は、エネルギー資源の輸送路の争奪が、原因です。

【強硬なロシア】
ロシアの、好戦的なメドベージェフ大統領(第一権力者はプーチン首
相)は「冷戦の再開(08.08.26)」と表明。

「米国の覇権」を支える米軍の、中東地域での弱体化を見たものです。
プーチン首相は、強大だったソ連邦を復活させることを狙っています。

【国際】
日本人は、敗戦以後、日米安保条約(米軍の核による支配)を甘受し
ています。そして独立した民主国は、民意で政策が決定されると、正
しく、美しく考える。世界を、仮想的に見ています。新聞の社説にそ
れが現れます。

ところが、民主国の基底には、軍がある。しかしわが国では、国力を
発揚するための軍隊は、憲法に反します。憲法への非論理の神学論争
と、軍の実際機能への思考停止が、続いています。

■2.巨富をもたらす資源・エネルギー

【ロシアの狙い】
ロシアは、カスピ海の天然ガスと原油がロシア国内のパイプラインを
通らず西欧・米国に運ばれることを、阻止することを国益としていま
す。原油と天然資源を押さえることが、国益で最大という認識からで
す。

【米英メジャー】
かつてソ連圏だったグルジアでのパイプラインの敷設は、1990年代に
失われた石油利権の復活を、カスピ海の原油・天然ガスに関与するこ
とで狙っている欧米石油メジャー(現在は力がない)の資本によるも
のです。グルジアは、脱露・親欧米になっていた。

【世界最大の3000億バーレルの埋蔵量】
キャビアを産するカスピ海の、海底原油の推計埋蔵量は、3000億バー
レルを超え、サウジの2600億バーレル(世界の25%)より多いとされ
ています。

過大見積もりかもしれませんが、サウジに匹敵するのは確かなようで
す。

【カスピ海原油の巨富】
時価総額では、$120×3000億バーレル=$36兆です。円換算では、4
000兆円という、想像を超える巨額です。世界の年間GDP(約5000兆
円)の8割に相当します。日本が生む商品量(=GDP500兆円)の8年
分です。

【資源通貨ルーブル】
ロシアのカスピ海原油と、埋蔵量で最大の天然ガスが、ロシア通貨ル
ーブルで売られるように変われば、世界がひっくり返る量の富です。
(今は、ユーロで売られています)

そうなれば日本も(今の対米国のように)、ロシアに商品を売り、国
際通貨になったルーブルを得なければならならない。

プーチン首相は、原油と天然ガスを基礎資産に、商品バスケットによ
るルーブル通貨圏を作る構想も、明らかにしています。エネルギーと
資源の、合成価格(=加重平均価格)に、ルーブルを連動させる。

●ロシアに隣接する中央アジアと中東は、90年代の約4倍~6倍に高騰
したエネルギー価格のため、富の宝庫になった。その獲得のための「
戦争」の一端がグルジアです。

ソ連の崩壊(1989年~)後は、冷戦の終結が言われた。
米国経済の情報と金融産業を、平和の配当と言った。
低い賃金の新興国からの商品輸出で、インフレなき成長でもあった。

【米ドル圏の拡大をグローバリズム、国際標準と言った】
90年代の10年は、米国の一極覇権による「グローバリズムの時代」で
した。

どの国も、金融(金融工学)と情報産業(情報工学)が巨大化した米
ドルを、価値があるとした時代でした。

米ドルを、貿易黒字の代償として、もっとも巨額($6兆:660兆円相
当)に、$証券としてもつ日本の円も、高く評価されていました。

【ユーロの成立とイラク戦争】
しかし、ユーロの成立(2000年)とイラク戦争の泥沼化(2001年以後)
を契機に、米国の軍事と経済の覇権が、凋落しています。

米ドルの、経済的な覇権(=対外権力)の、衰微も意味します。
ペーパーマネーの時価は、国力への信用を計るものでもある。

戦争は「戦闘」だけではない。権力、思想、イデオロギー、そして商
品(富)の争奪、そして何よりも、経済力の表象である通貨の覇権を
含む。戦争は、予見する未来の、富の略奪への欲望の表れです。

今、戦闘での最強は、ロシア軍かもしれません。国民には2年間の、兵
役の義務がある。失業者の傭兵でもある米軍の士気は、落ちている。
戦闘力は、兵器や核の量ではない。

■3.国際と通貨圏

われわれが美しく思い描く「国際」は、諜報と謀略と、自国にとって
覇権を拡大するための策略と暴力の場です。(注)元外務省の佐藤優
はそれを明らかにしています。あらゆることが、いずれ明らかになる
情報化時代です。

●国際的な覇権の具体的な現れが、その国の政府が発行した紙幣が信
用される通貨圏です。

国際的に商品を売買する市場で、米ドルの価値(富の保存機能)が信
用され、皆に使われる(60%)という根拠で、ドル基軸の通貨体制が
成立しています。

【対外債務$20兆】
しかし米ドルも、その赤字から、他の通貨に対しどんどん安くなれば
(=その分信用を失い)、対外総債務$20兆(2200兆円相当)のドル
建て証券に売りが殺到し、捨てられます。

【ユーロの意味】
ユーロ(約40%)は、ゴールドの裏付けを失ってどんどん安くなる米
ドルの覇権を嫌い、2000年に、ドル基軸から離脱しました。20年の周
到な計画でした。

ユーロ圏の統一通貨は、米政府・FRBが任意に発行できるペーパー
マネーの米ドルで、欧州の企業と、金融機関が買い占められてはたま
らないということから発想されたものです。

【資源・エネルギーの価格】
20世紀まで、資源・エネルギー・穀物の大消費国は,米欧日の先進国
経済圏(10億人)でした。

21世紀は、新興国30億人の経済発展から、(10年の長期で見れば)そ
れら資源がより多く必要になるとされる。

21世紀は、資源・エネルギーが、その国の通貨の価値を裏付ける。そ
の方向に向け、変わった感じがします。輸出力をもつ工業が、新興国
に移転しつつあるからです。

資源・エネルギー輸出国の通貨の、米ドルに対する上昇は、それを意
味します。

【ドルの対ゴールドへの価値】
米ドルの、この価値下落をシシンボライズするのが、1980年の$850を、
一時は超え、$1000になったゴールドの価格上昇でしょう。

(注)円と人民元は、ドル通貨圏です。輸出相手が米国だからです。
したがって、ドル価値に正比例し実質価値が騰落します。

(注)今ゴールドは、$1000のピーク(08年7月)から、20%下げ$
800です。1トロイオンス(31.1グラム)です。1グラムが約3000円。
円では、1980年のピークだった6495円の半分です。円が、1980年の米
ドル(227円)に対し、2倍に上がっているからです。

■4.国家信用を背景にする国債も、通貨である。

ユーロ諸国は、政府の財政赤字を、GDPの3%以内に抑える協定を持
ちます。財政赤字の抑制を原因に、国の赤字を増やし続ける米ドルに
対し、8年で、60%~70%の価値上昇(=米ドルの価値下落)があった。

重要なことですから、認識しておく必要があります。

●通貨の国際価値は、政府赤字による国債発行で下がる。

(注)2000年代の日本の円が、米ドルに対しては下げていないのは、
800兆円の日本の国債が、国内の個人預金を原資にして、金融機関や基
金で買われているからです。

▼これからの日本

21世紀は米国・欧州・日本は、ひとしく高齢化です。高齢化は、医療
費と年金支払いのため、国の財政の赤字がどんどん増えることを意味
しています。

民主国では、増税と医療費と年金の切り下げより、国債の発行が容易
だからです。

年金の切り下げは、わが国の厚生年金では65歳からの「年金の支給開
始年齢」を、順次、ひきあげることによって行われます。

わが国の、次の政策は「60代は働ける」ということです。
財源がないと払えないためです。

国債の増発は金利を上げます。政府収入は国債の利払いのため差し引
きが増えない。

20年後は、年金も「75歳の後期高齢者」になってからということかも
しれません。

(注)ここで重要なことを言えば、年間40兆円は預金が増える高貯
蓄国だった日本も、2000年以後、預金が増えなくなったことです。

原因は、5年で1000万人の、ベビーブーマーの60歳超えの高齢化と、
80%の人々の賃金の停滞(下落)、そして、ゼロ金利です。そのため、
今後、国債を増加発行すると、金利が上がります。アラブ、ロシア、
中国は、日本国債を買ってはくれない。

商品輸出入では、原油・資源・穀物価格の高騰で、26兆円が国外流出
し、日本も近々、貿易赤字国に転落します。

日本のみならず、欧州も米国も、同じように高齢化します。
つまり財政赤字が増え、国債発行で、通貨の価値が下がる。

■5.国債が意味するもの

財政赤字は、政府信用を裏付けとした、国債の発行です。
この国債は、紙幣に、翻訳されます。

広義にみたその国の紙幣は、国債の発行額です。
国債は、市場で即座に紙幣に交換できるからです。

たとえば、国の信用にその価値を依存するペーパーマネーの性格を典
型的に表す日銀のバランスシートは、
・所有する日本国債を、唯一の根拠ある資産とし、
・その所有額に見合う1万円札を発行しています。

貸借対照表(08.08.20時点)をみれば、国債に依存する脆弱な資産構
造が明らかです。金利が上がって、国債価格が下げれば、日銀信用は
飛びます。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/ac07/ac080820.htm

日銀は、日本政府が発行した国債(総額800兆円)の価値をもっとも信
用し、その価値を裏付けに、通貨を発行しています。

企業の資産に当たるものは、日銀では国債だけです。
この点では、米国FRBも、欧州中銀(ECB)も同じです。

(注)最大の資産である長期国債と、短期貸付(短期国債)の所有額
の合計が、97兆円です。他方、日銀にとっては国民への負債である紙
幣の発行が75兆円(1万円札で75億枚)、銀行からの預かり金(日銀
当座)が9兆円で、両者の合計は84兆円です。

その日本国債の信用(=価格の維持)は、どこから得られているか?
 
・国内の民間金融機関(総資金量500兆円)、
・郵貯・簡保(同300兆円)、
・年金基金(同170兆円)が、
 低金利の国債を、債券市場で喜んで買っているからです。

しかし、今後、世帯の預金が増えず、郵貯・簡保も減り、年金基金も
減れば、国内金融機関に、800兆円の残高を超えて増加発行される国債
の買い手がなくなります。

それが、いよいよ近付いているのが、2008年です。団塊の世代(5年で
1000万人)が、退職年齢の60歳を超えるからです。

これが、ペーパーマネーの価値を下げます。

その現象が、金融機関が無リスクの資産としている国債価格の下落で
す。国債の発行には、限度はない。国内で引き受けることができる限
りは、です。

(注)今は、10年もの国債の利回りは下げています。金融機関の安全
志向からでしょう。しかし実は安全でない。インフレは、長期金利を
上げるからです。2009年までは、世界の信用恐慌を防ぐための中央銀
行の低金利策と、債券買いで、金利は低いままでしょう。

国債は、引き受け手がなくなれば、価値は下げる。
これが、その国の通貨の下落です。当然の原理です。
円も米ドルと同じでしょう。

(注)日本政府にドル離脱を薦めます。わが保有する$5兆(660兆円
相当)のドル債を売ればいい。ごく一分で、ゴールドを買えばいい。
ドル債を派手に売らなくてもいい。担保にして借りて、ゴールドを買
えばいい。これが、この国を救うですが・・・最悪は、価値が下げる
ドル債をもち続け、巨額の為替差損を出すことです。

■6.ゴールドの価値の二面性

▼総量とその用途

有史以来のゴールドの生産量は15.5万トン(現在の時価で465兆円)と
いうのが定説です。全部集めて、オリンピックで使う50メートルプー
ル3杯分とされますから金の総量は少ない。15万トンの小型タンカー
の一艘で運べる量です。

その用途は、
・指輪やネックレスの宝飾が52%(8.1トン:時価で240兆円分)、
・個人の投資的保有が16%(2.5トン:同75兆円)、
・工業用が12%(1.9トン:同57兆円)
・世界の中央銀行の所有が23%(3.5万トン:同105兆円)とされてい
 ます。

「されています」と言う理由は、果たして、(後述するように)FR
Bを含む中央銀行にあるのかどうか、どこにあるのか、多いのか少な
いのか、政府公表データの真偽を確かめる手段がないからです。

既述したように「商品性の金の売買」は、IMFに届け出の義務がな
いとされるようになったからです。通貨性のゴールド・バーを買って
も商品とすれば(あるいは金証券を買っても)、IMFへの通告義務
はない。米国政府は、中央銀行の金保有を、カモフラージュする意図
を持っています。

今は1年で、2500トン(7.5兆円分:地上在庫の1.6%)が生産されてい
ます。宝飾用が50%、工業用12%、ゴールド・バー38%と見ていいで
しょう。産金コストは1トロイオンスで$350くらいです。

金の世界の埋蔵量は少ない。採掘が可能な残りは、5万トンと言われ
ています。1トンの金鉱石から5グラムは取れないと採算に乗らない。

しかも金鉱山は、生産を増やすと決定してほぼ5年後でないと、産金を
増やせない。いずれにせよ、産金量が1年2500トン以上に増えることは
想定できません。そして、埋蔵も20年で枯渇します。

(注)原油も採掘可能は約45年で似ていますが、世界の需要はクリー
ンな天然ガスに需要がシフトしています。原油が長期で見て、$200に
なるのは、中東またはカスピ海の周辺で戦争の危機がない限り、考え
られない。仮に$200になっても一時的です。現在は$140から下げて
$120です。

中国とわが国での天然ガスの利用は、米欧に比べ遅れています。パイ
プラインの敷設がないためです。国家のエネルギー戦略が遅れている。
(注)天然ガスは石油と同時に出ることも多い。

世界の通貨(M2のマネーサプライと国債)の総量が、1年で10%増加
すると仮定すれば、需給で言って、ゴールドは年率平均で9%は上げる
でしょう。金が1.6%しか増えないからです。

しかしこの上げは、間欠的で、突如30%~50%、あるいは2倍に上げる
ような値動きになる。(注)短期では、この8月のように20%下げる時
期もあります。

■7.ゴールドの価値の二面性が、他の商品にない特性

ゴールドの価値には、2面性があります。

【1面:商品性の金】
まず、商品として消費される側面です。工業用や宝飾用として消費さ
れます。その消費のうち60%くらいはリサイクルされ、回収されてい
ます。これが「商品性の金」です。2500トンの産金量の60%くらいが
商品性の金に使われます。

【2面:通貨性の金】
他の面は、原油や資源にはない価値保存の機能です。政府信用を裏付
けにしたペーパーマネーが、信用を失った時、あるいは価値下落した
ときの「究極の通貨(グリーンスパンの議会証言)」になる。これが
「通貨性の金」です。

次項は、書くことに、心理的な抵抗があります。
しかしマネーの現実ですから、敢えて書きます。
ゴールド・バーの、怪しさと曲々(まがまが)しさ。

■8.マネー・ロンダリングの(巨額)用途もある

兵器の密輸、麻薬の売買のときの信用される通貨は、ゴールドです。
映画007のとても古い「ゴールドフィンガー(1964年)」の世界は、
劇画的な脚色はあっても、英国の、諜報機関「MI6」の活動の一端も
示していて、全部がフィクションと言えない面があります。

映画にすれば、皆が、逆に、架空の話と思う。それを狙うため、劇画
的に嘘っぽくストリーを書いて映画にする。本当のことを嘘めかして
言うのは、たちが悪い。

ロシア国債のデフォルト(1997年)のとき、腐敗した政府高官が、ス
イスや米国で行ったマネーロンダリング(資金洗浄)にも、(おそら
く)ゴールドが使われているでしょう。

わが国では、広域暴力団が、脱税資金をスイスで資金洗浄したことは
よく知られています。あとは挙げますまい。

ロシア国債を、海外(一例が、1997年に破産したLTCM等)が買っ
たとき、米ドル紙幣を手にしたロシア政府の腐敗した高官が、スイス
やタックスヘブンに持ちこみ、ゴールド預金をしたとも言われます。
そのロシア国債は、金利払いも返済も、されなかった。

違法な脱税を含め、国際的な資金が蠢(うごめく)く「マネー・ロン
ダリング」の総額は不明です。金額が分かれば資金洗浄にならない。

●推計では、1999年以後だけでも、1年に$5000億~1兆(50兆円~10
0兆円)とされています。世界のGDPの1%~2%です。GDPや国際
貿易、国際資金移動の集計における誤差・脱漏の範囲です。兵器や麻
薬の密輸は勘定に入っていない。

低開発国への援助の美名で行われているODAの貸与(日本が7000億
円:世界で11兆円:2005年)からも、相手国高官の、マネーロンダリ
ンがある。

中国の外貨準備(約250兆円相当の政府資産)の預け先の明細は、どう
なっているのか? 王族が支配する中東の資金は、どこに、どう預け
られているのか?・・・です。 これらは、数%でも*兆円単位です。

ゴールドに曲々(まがまが)しや、触れれば危険なイメージがあるの
は、まさに「国際」で、資金を動かす国際金融マフィアやタックスヘ
ブン(租税回避地)が、もっとも信用している通貨でもあるからです。
これらが、ゴールドの伝統的な「価値保存機能」です。

■9.国際とは国内法や税が及ばないところ

「国際(国家の際を超えたところ)」とは、各国の法が、及ばないと
ころです。国際法はありますが名目です。大国の政治力で決まる。国
連のように無力な位置です。

(注)日本では国連も「国際」も高い位置にあります。しかし「国際」
は、オリンピックのようには美しい場ではない。

タックスフリー(無税)になるのはそのためです。税は、国の法が及
ぶ範囲で有効です。国境は、税と軍と法が、及ぶ範囲です。

【タックスヘブン】
マネー・ロンダリングと見なされない正規なもので言っても、元本出
資約200兆円のヘッジファンドが利用するタックスヘブン(租税回避地)
やオフショアは、「国際」として各国が認めています。

ペーパーマネーは、政府信用です。各国政府から離れた「国際」が、
紙幣より、普遍的な価値があると認められているゴールドを重んじる
のは当然でしょう。

▼タックスヘブンとオフショア

日本株の売買の60%は「ガイジン」による売買と言われますが、その
売買は、多くが、タックスヘブンに本拠を置く、ファンドによるもの
です。日本のファンドマネーも、行っています。

スイスに隣接するリヒテンシュタイン(人口3.3万人)は、国際金融業
のタックスヘブンです。スイス、モナコ、サンマリノ、英領バージン
諸島、バーレーン、シンガポール、香港、マン島、バハマ、パナマ、
バーミューダー諸島など、40か所もある。

そこに資金運用の本拠を置けば、課税が逃れられることがある。
(注)内容は、それぞれ異なります。

米国の入国査証で、100万円以上の現金や、それに代わるものを持って
いるかどうか訊かれるのは、マネー・ロンダリングの防止がその名目
です。無差別に、旅行鞄も検査できます。指紋もとる。わが国では、
正規の国際送金は、銀行で申告されています。送金の相手先を含めや
やこしい書類を書く。

■10.日本と欧州のゴールドへの態度の違い

欧州(特にスイス、フランス、イタリア)、中東、インドでは、ゴー
ルドがペーパーマネーの価値の根底にあるという考えの人たちが多い。

他方、日米では、ペーパーマネーの発行量とゴールド保有を関係づけ
て考えることが少ない。エコミストも通貨論(貨幣論)は研究せず、
書かない。政府を信用していると言えます。

ケインズは『一般理論』の前に、邦訳で全2巻の『貨幣論(900ページ)』
を書いています。アマゾンの古書で手に入れ、手許にあります。

誰も読まないでしょう。読むのに骨が折れます。しかし貨幣の本質は
見通されています。ケインズは紙幣論者です。

政府あるいは民間が、ペーパーマネー(つまり紙幣、証券、国債)を
大量に発行した国では、例外なく、政府主導で「反ゴールドキャンぺ
ーン」を行っています。「通貨が金に依存するのはばかげている」

金には、価値貯蔵の機能はない、無意味だとする。
そして金価格の下落を誘う政策を取ってきました。

1980年以降、2002年まで続いた金価格の下落は、興味深い時期でした。

日本は、国債を大量発行した。米国は、株と証券と紙幣を海外にばら
まいた。その最後が、金融工学を使う住宅関連証券でした。

欧州は、そのドル建て債を買った。

●いずれにせよ、世界には、ペーパーマネー(紙幣、証券、株、国債)
があふれた。信用膨張です。(注)現在の、国債を含む証券の総量
は世界のGDPの約3倍の1京5000兆円です。

世界的な、ペーパーマネーの信用膨張の20年の中で、
(言いかえれば紙幣の増刷と、株を含む証券の増加の中で)、
・第二次オイルショックの1980年には1トロイオンで$850の瞬間価格
 をつけた金価格は、
・2001年の最低価格$250にまで低下しています。

それがなぜ、2002年から、原油と歩調を合わせ、急騰したのか?
まず、原油の急騰原因の真相から解きます。

■11.原油の急騰の本当の原因は、「通説」と異なっている

原油高騰の原因を、通説は以下のように言っています。

(1)中国、インド、そして新興国の経済成長(7%~2桁)で、資源・
   エネルギー・穀物の需要が増えている。今後もっと増える。
(2)中東の地政学的不安。
(3)ファンドや年金基金が、商品先物を、投機買いしている。

しかし需要の事実は、以下です。原油需要は増えていない。今後の予
想できる増え方も穏やかです。2009年は逆に減ります。

世界需要の6割を占めるOECD(先進30カ国)の原油消費は、2006年
でマイナス0.9%です。先進国の原油消費は、減っています。

他方、世界需要の4割を占める非OECDの、2006年の消費増は3.1%
でした。以下が、2000年代の世界の原油消費の傾向です。(単位:億
バーレル:英国石油(BP)の集計)

   【OECD30ヵ国】【BRICs】【その他】【世界計】【価格】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2000年   174.5   42.4  62.3   279.2  約$30
2001年   174.1   43.1  63.2   280.4   $25
2002年   174.1   45.0  64.6   283.7   $25
2003年   176.3   46.8  65.8   288.9   $30
2004年   179.7   51.2  68.8   299.7   $40
2005年   180.5   51.9  70.8   303.2   $55
2006年   179.0   54.2  72.4   305.6   $60
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2000年から2006年の世界需要は、279.2億バーレルから305.6憶バーレ
ルへと、9.3%増加しています。年率の増加は1.5%です。実に安定し
ています。

世界経済(GDP)の実質成長は、年率3.5%くらいでした。
GDPの1単位に対する原油効率は、年間で2%改善しています。
OECDの原油消費は、2006年は、逆に減っています。

●2000年の1バーレル(159リットル)の$30が、2006年の$60へと急
騰する理由は、この世界需要の増加ペースには、見当たりません。ま
してや$145へと4.8倍にも上がる理由は、需給面では皆無です。

BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に含まれる中国の、
原油消費が増えていると言っても、先進国(OECD)の景気後退と、
エネルギー効率の上昇で吸収できます。

【2007年】
上表にない2007年の、世界の原油消費の増加は、過去のペースより
0.4ポイント低い1.1%です。

【2008年は消費減】
今年2008年は、世界的な不況への突入で、最大の消費国である米国(
世界の25%を占める)は減少の見込みです。6%を占める日本も、減り
ます。欧州も減る。

世界需要の6割を占めるOECDの原油消費は、確実に減り、これが来
年の2009年も続きます。

【中国の増加ペースも低下する】
中国も、株価・地価のバブル経済が、2008年2月から崩壊しています。
(上海市場の株価指数は6000ポイントからその40%の2400ポイントへ
下落。地価もこれから、株価下落を追います。)

■12.今後の原油価格への結論

▼先物指数の投機買い

原油の実需には、$30から$120~140へと3倍以上に高騰する原因はな
い。

じゃ何が、価格を上げたのか。米国の商品市場での、原油先物への投
機です。原油先物が、投資のポートフォリオで金融商品になった。

投機価格への「つれ買い」を促すには、論文やリポートが必要です。

OPECは「中国の原油消費は25年で倍増する」と発表しています。

2006年の中国の原油消費は27.2億バーレル(世界需要の9%)です。
2033年ころ55億バーレルになると言う。しかしこれは25年の長期です。
年率では、2.8%の増加です。実に穏やかな増え方」でしょう。

結論をいえば、今の原油価格は、実需増からの価格高騰ではない。

上げた原因は、ドルの過剰流動性です。つまり、実質経済に対するド
ルの通貨価値の下落があって、それがファンドの投機になった。ドル
が、世界にあふれ価値が下がるのを恐れた結果です。外貨準備だけで
も$6兆(660兆円)もあり、1年に、米国にとっての借り入れが100兆円
くらいも増える。

2006年までの米国住宅価格の、高騰理由は、ローンの証券化による「
安易な貸付の増加」でした。代表が、150兆円のサブプライムローンで
す。これも、海外に売った。

米ドルの過剰流動性が、住宅に注がれた結果です。
先物市場で金融商品化した原油価格も、住宅と同じ原因です。

結論を言えば、これからの原油は(戦争や紛争等の理由を含んで)O
PECが、供給を減らすことによってしか、今の価格の維持、または
上げはない。

ファンドの投機は仮需です。仮需は、利益を出すのが目的です。仮需
で実需が増えるわけではない。

ファンドは、原油を使いません。売るのが目的で、一時所有する。そ
のため、皆が利益確定の目的で売る時には、大きく下げます。

中国の経済発展が原油を上げるという通説とは異なりますが、今後の
(増えない)世界需要の合計を見れば、それが言えます。

加えて、あまり知られていない事実を言えば、米欧のエネルギーは、
90年代から、順次、天然ガスにシフトしています。

過去2度のオイルショック(1973年、1980年)では、いずれも、原油価
格はその前の4倍に上げました。

高騰した翌年以降は、実需が減っています。そして価格は下げた。今
後、これと同じことが起こります。価格が上がれば需要は減ります。
車も小型になる。価格が上がった住宅と同じです。

▼にもかかわらず・・・

しかし米ドルとドル証券の過剰印刷は、今後も変わらない。

金価格の、2000年以後の約3倍への高騰は、ドルの通貨価値の下落を意
味します。

それと同じく、原油・資源の高騰は、ドルの過剰発行が原因です。妥
当な原油価格は、2000年の3倍の、$90付近でしょう。

(注)ただしイランを含む中東、そしてカスピ海周辺の危機があれば、
一時的には、この2倍以上になるでしょう。

■13.90年代のゴールド価格に低下には、原油より複雑な事情があっ


▼1980年までのゴールド価格の決まり方は、現物取引だった

●1980年までのゴールド価格は、
・金の地金(ゴールドバー)の買いの量と、
・金の現物生産量、及び現物の保有者(中央銀行、銀行、個人)の市
 場への放出量で決まっていました。
 
まず、この事実の確認が重要です。

第二次石油ショック時(1980年)には、$850に高騰しました。
1976年は$103でしたから、4年で8.3倍に上がった。

(注)1トロイオンス(31.1グラム)の米ドル価格で述べます。金市場
も、米ドルで取引されるからです。原油・資源と同じく「ドルが尺度」
です。

▼カナダの産金業者バリック・ゴールド社が1980年代に「先物ヘッジ
売り」というリスクの高い取引を開始した(この先物ヘッジ売りも、
単純なデリバティブの一種です)

ゴールドの政商的な色彩が強いバリック・ゴールド社(産金鉱山会社)
は、なぜか「金は下げる」と確信していました。米政府とFRBの、
「金価格を下げる」方針のリークでしょう。そうでなければ、リス
クがあって実行できない。

方法は以下です。若干長くなりますが、丁寧に示します。

(1)金の現物を、中央銀行やブリオンバンクから、1%~2%の低い金
利を払って、金の鉱山会社が借りる。(金のリースを受ける)

(注)3.5万トンの金を貯蔵していた各国中央銀行は、市場に金をあふ
れさせ下げるため、国際協定で、保有する金を、ブリオンバンクにリ
ースすることを決めていました。

ブリオンバンクは、金を取り扱うことを許可された銀行や商社です。
ブリオンバンクが、中央銀行からリースを受けた金を、鉱山会社に、
3%から4%の金利をとって再リースする。

(2)鉱山会社は、リースを受けた金を、マーケットの時価(たとえば
$600)で、市場で売却する。ブリオンバンクの直接売却も、もちろん
あります。

(3)将来、自社の金鉱で生産した金や、次のリースで借りた金で、貸
主(ブリオンバンクから中央銀行)に返却する。

このときゴールドの時価が400ドルに下落しているとすると、200ドル
が、この先物ヘッジ取引での利益になる。(注)上がっていれば損で
す。倒産します。

こうした金リースと先物ヘッジ売りで、各国の中央銀行が貯蔵してい
た金(合計3.5万トン)のうち、多くが、金の市場にあふれることにな
った。

金市場では、売りの超過になって、ゴールド価格が下がる。
中央銀行が貸した金の、「空売り」と言えます。

同業者も、バリック・ゴールド社が継続して出した巨額利益を見て、
「先売りヘッジ」をまねた取引を行ったのが、1980年代中期からです。

●以上によって、金は2002年の$225に向かい、20年間、下がる傾向を
続けた。

●その首謀は、金のリースを行ったFRBと各国中央銀行です。

ペーパーマネーを発行する中央銀行と、国債を売る政府にとっては、
「ペーパーマネーの下落を示す金に高騰は敵」だからです。

●市場に出回る金が、リースされる金と、将来の金鉱からの産出を含
んで、急に増えた結果になった。金庫に眠っていた株が、売りに出さ
れ、流動株が増えたのと同じ、価格下落効果です。

1日1000トンが、金先売りヘッジ(先物ヘッジ売り)で取引されました。
当時の、年間の生産が約2000トンですから、先売りヘッジの量が、
いかに多かったかわかります。

金への投機あるいはインド、中東、中国の宝飾商品としての需要が、
この売りでまかなわれた。金価格は、上がらなかった。あたかも、市
場で無尽蔵になったような感じです。

中央銀行の3.5万トンを借りた売り手が、突如、現われたからです。

●ここが、
・1980年までの金の、現物の売買市場と、
・1980年代以後の金市場の、根本的な違いです。
 そのため、20年も低迷し、下がった。

逆にいえば、先物ヘッジ売りが終わるか、制限されれば、金価格は上
げる。金の需給では市場で1年に500トン不足しているからです。

●事実、1999年には、各国中央銀行は「ワシントン合意」で、金のリ
ースを制限します。2004年には、「第二次ワシントン合意」で再びリ
ース量を制限する。

●このワシントン合意の理由は、(論理的な推理ですが)FRBと各
国中央銀行が保有するゴールドが、「リースと現物売り」によって、
枯渇したためと思われるのです。

今、米欧の中央銀行の、公式には3.5万トンとされるゴールド保有は、
大部分が、空洞化していると見るのが正当でしょう。

バランスシート上では、ゴールド保有のままでもいい。実際は売った
としても、売却価格に見合う現金が、資産として入金しているからで
す。

中央銀行による金現物の売りは、1年で400トンでした。市場での500ト
ンの不足を、この売りがうずめていた。もし、この売りや金リースが
なければ、金は上がっていたのです。20年も続ければ、公表された売
りだけでも8000トンです。これは、米国FRBが保有するとされる量
に匹敵します。

▼米政府、FRB、及び金融マフィアと通じた政商

バリック・ゴールド社は、顧問団にブッシュ元大統領(パパ・ブッシ
ュ)、ベーカー元駐日大使、コーエン元国防長官、カナダのマルニー
ニ首相、元ドイツ連邦銀行総裁オットー・ペール等が名前を連ねてい
ます。

米政界と金融の上層に結びついている政商です。米政府とFRBが画
策した1980年に$850に高騰した金を下げる政策を、市場で実行したの
がバリック・ゴールド社でした。その方法は、既述した先売りヘッジ
(先物売りによるヘッジ)でした。安くなることを知っていなければ、
この取引はできない。

所有するゴールドを、リースをしたのが、FRBと欧州の中央銀行で
す。特に欧州の中銀は、金の現物も、売りに出します。

1999年には、イングランド銀行が、保有金715トンのうち415トン売却
するという発表をしています。これが、市場心理のとどめになって、
金価格は1999年8月25日に、$252の歴史的安値をつけます。

英国は20世紀前半の、金本位時代の基軸通貨国でした。
市場心理に与えたインパクトは大きかったのです。

鉱山会社をもつ産金国であるカナダとオーストラリア(いずれも英連
邦)が、金価格を下げる露払いの役割を務めたことになります。

金価格を下げる米政府の意図は、「金利のつかず価格が下げる金より、
株のほうが儲かる。確実性を求めるなら、政府が保証する国債がい
い。金の時代は1980年で終わった。」ということを訴えるためでした。

金の時代が終わり、ペーパーマネーに替わったことを訴えるためです。

金価格を下げるため、中央銀行が金リースを開始し、更に下げるため、
1年約400トンの金の現物を売った。

■14.誰が安い金を集めたか?

1980年代、90年代の20年間、中央銀行が仕掛けた金リースで増加供給
され、マーケットで安く売られた金($250~$400を波動)を「誰が、
一手に集めたか?」

ゴールドの謎は、これです。

1トロイオンスが平均で$300と、現在の37%なら、各国中央銀行がリ
ース用に使った3.5万トンのうち3万トン(86%)を、実質的に集めて
も、全部で30兆円です。(注)現在の時価は、3倍の90兆円

20年に分散すれば、3万トン÷20年=1500トン/1年の買いです。
1日の金の先売りヘッジ量が1000トンですから、そのうち3%(3トン:
90億円)くらいなら、目立たせず買えます。10年に分散でも、1年に1
80億円にすぎない。

市場で買うのは、真の買い手から、資金を預かるエージェント(代理
人)です。1年に、1兆5000億円分です。これは、中規模の金融機関に
とっても、容易な額です。

ここに、2002年からの3倍への高騰と、将来の金価格を解く時の、謎が
あります。(注)繰り返しますが、金の上昇は、ドル価値、ユーロの
価値、そしてドル圏の円価値の下落です。

観測筋は、銀行の語源でもあるデル・バンコ一族(本拠地は、海に浮
かぶ水都「ベネチア」)が、FRBと米政府、及びイングランド銀行
そしてスイス銀行が安く誘導したゴールドを買い、所有権を集めたと
推測しています。(鬼塚英明:『金の値段の裏の裏』)

デル・バンコは中世のベニスの商人以来、800年の歴史をもちます。
イタリア(特にフィレンツェ:ベッキオ橋)に、金細工店が多い理由
でもある。

国際金融マフィアであるロスチャイルド家が出資した「バンク・リッ
プス」を創設したフェルナンド・リップスが、2001年夏に(意図して)
書いた『Gold War(邦訳:いまなぜ金復活なのか)に、以下の記述
が見えます。

当時の金価格は、$270と最低水準でした。これが、$1000以上に上が
る予測をしていた。この予測は、以前、コモディティへの投機で紹介
したジム・ロジャースと似ています。コモディティの先物も、投資の
ポートフォリオの対象である金融商品になった。

リップスは、同じく金融マフィアであるデル・バンコ一族の、ゴール
ド買いのエージェントを務めたと目される人です。現在、金鉱山の経
営に従事しています。おそらく、今、金を誰が所有しているか知って
いる。

・米国は財政赤字、経常収支の赤字を続ける。
・米国の純債務は、どんどん増える。(=ドル増刷)
・ゴールドは、年間500トンの慢性的な供給不足である。
・不換紙幣の増刷でインフレが進む。
・中東問題は容易には解決されない。

増刷される米ドルと米ドル証券の実質価値の下落が、インフレを生み、
金価格を上げる・・・

(注)デル・バンコ一族は、ゴールドの保有をベースに、BIS(ス
イスイのバーゼルに本拠を置く国際決済銀行)を、資本で支配してい
ます。ロスチャイルドにも、つながっています。

BISは、わが国では、金融機関の自己資本比率を8%以上とするBI
S規制で有名です。「先進各国の、中央銀行の上に位置する、中央銀
行」です。BISを通じ、世界の中央銀行同士が、資金を貸借してい
ます。
http://www.bis.org/

いずれのインフレで、実質価値を下げる米ドル(ペーパーマネー:紙
幣・国債・株券・社債)には、価値貯蔵の機能がないと見ていたこと
になります。

世界のGDPの3倍(1京5000兆円)にも増えた信用総額(紙幣、預金、
株、証券、国債)に対し、15.5万トンのゴールドの世界の総量と、
地下の埋蔵量5万トン、合計で20.5万トン(時価615兆円)は、いかに
も少ない。

ゴールドを市場に供給していた中央銀行の3.5万トンが、2002年ころに
空洞化し、デル・バンコであれ何であれ、どこかに集まっているとす
れば、今後5年、10年単位で見た金価格は、どうなるか。言うまでもな
いでしょう。

市場への供給を絞り、価格の高騰を狙うことができます。リップスが
『Gold War』を書いた目的は、金を買う人を、世界に増やすためです。
そうする理由は、15年間、中央銀行が放出した金を買い集めたから
でしょう。原油埋蔵量での、サウジアラビアのような位置です。

今後、金価格が下げる時は、ファンドや金融機関が、証券の損で、翌
週の資金繰りに困っていると認識しておいてください。金は換金性が
即座だからです。
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No title

良く調べられましたね。ご専門なのですか?
あまりの長文なので3週間くらいかけて読ませていただきます。
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DNF

Author:DNF
生息地:札幌市
2000年のインターネット証券の登場で即効で
口座作って株始めました。

兼業かたわら、相場の研究とトレードに精をだしていますが、裁量トレードはヘタクソなのを実感したのと精神的につらすぎて、これ高齢になったら続けるの無理なんじゃないかと思い、結局今はエクセルで自作した(なんだかんだで2~3年はかかった。。。)システムトレードと中長期の現物株での配当生活をめざしております。

でもいまだにヘタクソな僕は裁量トレードやって損しまくってます。


株暦長いくせにまだまだ資産的には不十分ですが、相場が好きで好きでたまらないのでトレードは一生確実に続けると思います。

目標は何もしなくても自動的に入ってくるキャシュフローだけで経済的な面で生活できることです。



ここに記載するのはあくまで私個人のデータと見解に基づくものですので、投資取引の推奨するものではありません。
またこのブログに書かれている事は正確であるとは限りませんので投資はくれぐれも自己責任でお願い致します。

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